ジュリアード弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲13番を聴く(1982年、ワシントン、アメリカ合衆国国会図書館クーリッジ・ホールでのライヴ録音)。
「大フーガ」を抜きに13番を聴いてみる。
この曲の終楽章は、出版社や友人らの要望で「大フーガ」と差し替えられたもの。これは、彼の最後の作品と云われている。13番の作曲から1年あまり経てのものであるが、全曲を通して聴いて違和感はない。最後の作品だからといって悲壮感は薄く、むしろコミカルな味が漂っている。上機嫌なベートーヴェンである。それだけに、なんだか泣ける。
その前の、5楽章「カヴァティーナ」は、ベートーヴェンが作った最高の緩徐楽章のひとつ。これを聴けば、穏やかに成仏できそう。
さて、ジュリアードの演奏であるが、相変わらず冴えている。それはあたかも切れ味するどい日本刀、完璧さへの情熱は高く、迷いなし。
大フーガがなくても全6楽章を要する、複雑な大曲であるが、テクニックは前に聴いた12番や14番にも増して優れているように思う。
国立国会図書館は、録音するにはあまりいいロケーションとは思えないが、残響の少ないことは、聴いているうちに忘れる。
ロバート・マン(第1ヴァイオリン)
アール・カーリス(第2ヴァイオリン)
サミュエル・ローズ(ヴィオラ)
ジョエル・クロスニック(チェロ)
屋根の上のパーティ。
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