シャンゼリゼ劇場シリーズの第1集。
ほかにマルケヴィッチのマーラーやマガロフのリストなど、
なかなか盛りだくさんの3枚組CDだが、今日はそのなかの1枚を聴いた。
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
カール・シューリヒト指揮フランス国立管弦楽団
(1963.5.14 SSCD001)シューリヒト冒頭の和音の連打に続く、弦楽器による第1主題の鳴りかたに
メリハリがあって、堂々としている。
全く迷いなし。毅然とした態度を最初から表明している。
毅然としていて筋肉質。硬派な演奏である。
硬派といえば。
下駄を履いて登校し、昼飯時は弁当箱の大きさを競い合い、
放課後になれば隣町の学校の連中と喧嘩にあけくれる日々。
…それじゃ岩鬼か。
中学生の時、コンサートの帰りに友達と上野公園を歩いていたとき、
前から4、5人の酔っ払いが歩いてきた。
学校の先生だった。
夜の繁華街近くであったが、彼らは私たちを咎めることはなかった。
しかし、皆様すっかり酔っ払った波平状態だったのだ。
「チミたち、なにを聴いてきたの?」
「はあ。ベートーヴェンの第九です」
「第九って、英雄きゃ?」
「は?」
「ああ、あれは田園かー」
「いえ、田園は6番ですねー」
「あ、そなの。わっはっはっはっはっは。じゃねー」
酔っぱらってるんだか、知らないんだか、定かではなかった。
翌週からの授業では、お互い何もなかったような顔をしていたのは
言うまでもない。
「英雄」を聴くとき、時々、この夜のことを思い出す。
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