ベートーヴェン 中期ピアノ・ソナタ集 ギレリス(Pf)城山三郎「価格破壊」を読了。薬の小売を手始めに、どんな商品も安く提供するスーパーとして大手に成長するまでの経営の道のりを描いた小説。舞台は終戦後の高度経済復興期であり、モデルが実在するという。中内氏のことなのかと想像する。創業者である主人公のパワフルな働きぶりには圧倒されるばかり。家庭をかえりみぬ仕事人の典型である。この時代を背景とした経済ものは、こういう主人公が多いな。ともかく、電車で読んで元気が出る読み物のひとつだ。
ギレリスのベートーヴェンは昔によく聴いた。冴え渡る技巧とあざやかな音色は、わかりやすく迫力じゅうぶんだ。最近、あまり聴いていなかったのは、きつい打鍵と音色が耳に厳しく、これが最上のベートーヴェンとは思えなくなったからだ。
久しぶりに「告別」を聴いてみると、楽章ごとにムラがある。第1楽章は
からくり人形のように流れがぎこちない。ダイナミックは強く強調されている反面、力づくでねじ伏せようとする強引さがあり、やや1本調子に感じる。
続く第2楽章も傾向はあまり変わらず、響きも作りも硬質。ところが終楽章になると、突如柔らかみが出てきて、ひとつひとつの音が際立つようになった。それまでの流れからすると流麗といってもいいくらい。肩の力が抜けた、適度に緊張感のある音楽となっていて、この楽章に関しては第一級の演奏だと思う。PR
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
浅田次郎の「中原の虹」、出ていますね。浅田を好きなので読んでみたいですね。よく読んでいるつもりでも、彼はけっこう多作なのでまだ全部は読みきれていません。
ブリリアント盤もそうですか。あの1楽章には、ぎこちなさを感じました。確かに、ギレリスが意図的にそうしているのかもしれませんね。それに比べ、3楽章は見事な演奏だと思いました。
生を聴いたことがないのでなんとも言えませんが、DG録音は総じて硬いので、実演との乖離が大きいのではないかと感じます。
2007.11.10 21:44
無題 - bitoku
Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
ギレリスのベートーヴェンは以前何枚か購入して聴いてきましたが、肩に力が入ったカチカチの演奏がつらくて、最近はとんとご無沙汰していました。DGの録音が、それに輪をかけたような硬質な録音なので、さらに疲れが増すようです。
おっしゃるとおり、ベートーヴェン以外のほうがいいかもしれませんね。ショパンやスクリャービンは聴いたことありませんが、ブラームスは良かったです。
>ギレリスは高倉健さんみたいに不器用な男。
(笑)! あの風貌は、寡黙な男のものですね。饒舌にギャグをとばしたりする姿は想像できませんねえ。
2007.11.11 11:27
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