不死鳥の指揮者、クレンペラー。
と、よく評されます。
指揮台から落っこちて大怪我したとか、愛用のパイプが原因で火事に
あったとか、さまざまなジンセイの困難を乗り越えて、
不屈の意思で現役を続行した指揮者だと…。
そんな話を聞いて、ああこのヒトは凄い、年もフルヴェンより1つ
上だし、顔もゴツイし、という感覚で、生意気ながら一目も二目も
置いていました。
でも、実際に音楽を聴いてみると、渋い。渋すぎる。
そして、遅い。
すごくとっつきにくい音楽をやるヒトだとわかって、暫くは
遠ざかっていたのです。
本日、たまたま衛星放送で、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団との
ベートーヴェンの交響曲全曲(!)を放送していました。
ちょっと用事があったので、第2番と第7番だけを見ました。
この第7番!!!
第4楽章の「タッタカタ」のフシがはっきり明確に聴こえるのです。
勿論、遅いからなのですが、じわじわと悠揚せまらぬテンポで
フィナーレを構築していき、とうとう、そして最後の
「タッ、タカタッ、タカタッ」が金管とティンパニに一撃が鳴らされた
ときは、涙が出そうになりました。
ケレン味はないし、特に変わったことをやっているわけでは
ないのですが、全体に漂う緊張感はなみなみならぬものが。
晩年になって、ときに想像を超える演奏をする音楽家はいますが、
クレンペラーもダテに歳はとっていませんでした(あたりまえか)。
ごちそうさまでした。
参考盤:
クレンペラーのベートーヴェン第7番★人気blogランキング!★クラシック音楽ブログ集PR