ベートーヴェン「ピアノ協奏曲1番 ルプー(Pf) メータ指揮イスラエル・フィル西原理恵子の「ああ息子」は、投稿による「息子"異次元"体験」。
『1歳と3歳の息子。今日は何やらとても楽しそうに2人でキャッキャ言いながら遊んでいます。やっぱり新築の家で、あの子たちも嬉しいのねーっ(ニコッ)と炊事していたら、「おかーさんも一緒にやろーっ」と子供の声。ニコニコしながら行くと、廊下にサラダ油をまいてトドのようにつっっーぅぅーとお腹で滑って遊んでいました。かっぱえびせんを一袋床にばら撒いて、ざくざく足で踏んで「いい音するねえ」と遊んでいたこともあります。』
これは投稿作品。いい話である。
『郵便ポストにしがみついてぺろぺろなめてる男子発見。2メートルほどはなれたところで母親が空をみていた。
そう。直視せず遠くを見るといいよね』
これは西原の挿絵付きエピソード。
なめると言えば、ワタシは幼稚園の頃、十円玉をなめるのが好きだった。銅の味がなんとも言えなかったのである。親に見つかって怒られてからはやらなくなったが、大人になって胃腸が弱くなったのはそのせいなのかもしれない。
いや酒か。
ルプーとメータによるベートーヴェンは、まずイスラエル・フィルのしなやかな序奏に引き込まれる。軽やかななかにわずかな湿り気を帯びた弦の響きがとてもおいしい。要所に打ち込まれるティンパニは、程よく芯があり、心地よい。
オーケストラに聴き惚れていると、おもむろにビアノが登場。オケに夢中でこっちの存在を忘れかけていたが、なんのなんの、ピアノもまた魅力的。というか、出てみれば、ビアノの存在感はやはり大きい。
一粒づつ丁寧に磨きこまれていて、しっとりとした質感がある。時間をかけて丁寧にヤスリをかけたように角が丸い。デッカの柔和な録音の効果はあるが、仮にれでなくても艶やかな音を醸し出しているであろう。
音のよさに加えてテンポもしっくりくる。緩急のつけかたがしなやかで自然なスピード感がある。
流麗なベートーベン。こういう演奏もいいものだ。
1979年3月、テル・アヴィヴでの録音。
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