アラン・ロンバール指揮ストラスブール・フィルの演奏で、ベルリオーズの『幻想交響曲』を聴きました(1973年の録音)。
ロンバールは70年代半ばから80年代にかけて、日本で多くのレコードを出していたことがあり、それが印象に残っています。なんでも、ミュンシュを失ったフランス楽壇が、マルティノン以外の国際的指揮者を待望したそうで、一時期彼はエラート・レーベルの顔のひとりでした。
ただ日本の評判はさほど高いものではなかったし、私もほとんど聴いてこなかった。この機会に、フランスの威信というものをじっくりと味わってみました。
まずオケは、音が硬質でシャキッとしている。そして輪郭が明瞭。艶やかでもある。
フランスといえばパリ音楽院の鄙びたホルンやバソンの響きが好きなのですが、ストラスブールはアメリカのオケに近いみたい。美術館で云えば、ルーブルではなく近代美術館、かな?
ロンバールはところどころ強弱の味つけを施す。嫌みにならない程度に。
流れ重視の進めかたは、オケのドライな響きと相まって、とてもスマートで聴きやすい。ダイナミックのつけかたはいささか単調だけど、じゅうぶんに迫力があるし、高揚する。ただ、後年のマゼールとドホナーニの演奏を知ってしまうと、物足りなさを感じるかな。
録音はダイナミックレンジが広いから、冒頭がよく聴こえるように音量を合わせると、4,5楽章が大変なことになります(笑)
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