インバル指揮フランクフルト放送交響楽団・他の演奏で、ベルリオーズ「ファウストの劫罰」を聴きました(1989年2月、フランクフルト、アルテ・オパーでの録音)。
ベルリオーズの作品中、「レクイエム」と並ぶ傑作。この曲には、マルケヴィッチがラムルー管弦楽団を指揮したとんでもない名盤があります。
音楽の歯切れのよさ、チャーミングなこと、それに加えて歌手の闊達さ。これ以上の演奏はちょっと想像がつかない。なので、後続のCDは大変と思われます。
これはそのひとつ。インバルはベルリオーズの主な管弦楽曲を録音しているからベルリオーズを得意としていたのかもしれないけど、ときどき唸らされる演奏です。
テンポは、マルケヴィッチよりいくぶん遅め。始まってすぐの「ハンガリー行進曲」は、かなりテンションが高い。
主役級の3名の歌声は朗々と響いて気持ちがよい(とりわけメフィストは黒光り)し、管弦楽は精緻さと華やかさを併せ持っていると思います。
「地獄への騎行」におけるファウストとメフィストの掛け合いは手に汗を握り、続けてなだれ込むクライマックス「地獄の首都」で爆発。オケは雄弁だけど、欲を言えば合唱がもう少し強いほうがいいような。
ラストの「マルガリータの昇天」の合唱はしみじみいいです。
マリア・ユーイング(マルガリータ)
デーネシュ・グヤーシュ(ファウスト)
ロバート・ロイド(メフィストフェレス)
マンフレート・フォルツ(ブランダー)
クリスティアーネ・エルゼ(エピローグのソプラノ)
ケルン放送合唱団
シュトゥットガルト・ジュートフンク合唱団
ハンブルクNDR合唱団
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