錦糸町楽天シネマズでブライアン・ヘルゲランド監督の「42」を観る。
これは、メジャー全球団共通の永久欠番になっている、42番をつけた黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの半生を描いた作品。
当時(1940年代)は人種差別が今よりも激しかった。便所などは、白人用と有色人種用にわかれていた。そんななか、ブルックリン・ドジャーズのオーナーが黒人選手を受け入れる決断をし、ロビンソンに白羽の矢が立つ。
さまざまな嫌がらせを受けながら、一部の支援を受けて最後に勝利するお話は、いかにも予定調和的。
この映画の見所は、ロビンソンを演じたチャドウィック・ボーズマンのバッティング・フォーム。美しく、とてもリアル。メジャーリーガーを演じて恥じないフォームなのである。ボールを打つ音もいい。
ハリソン・フォードがオーナーを演じている。久々に彼をみたが、年相応と言うべきか。老人役がぴったりくるようになってしまったのだな。
キーシンのピアノで、プロコフィエフのピアノ協奏曲2番を聴く。
この曲は、プロコフィエフがペテルブルク音楽院在学中に書かれた。作曲者自身のピアノで初演されたが、評判は芳しくなかった。ところが、翌年にディアギレフの前でこの曲を弾き、才能を認められてバレエ音楽を依頼された、という逸話がある。ころんでもただでは起きない。
なおこの曲は、ロシア革命のドタバタで楽譜が紛失してしまっている。こんにち弾かれているのは、1923年にプロコフィエフが記憶を頼りに再作成したバージョンである。
キーシンのピアノはここでも好調。かなりのテクニックを要するであろうこの曲を、すんなりと弾いている。音の粒がピシっと立つ。ジャズ風に少しくだけた個所のメリハリ感もとてもいい。
アシュケナージのオケも負けていない。色彩鮮やかで切れ味がいい。自身は1970年代にプレヴィンの指揮でこの曲を演奏しているだけあって、熟知しているのだろう。ピアノにぴったりと寄り添っている。
ピアノ、オケともども、ラストの追い込みが見事。
爽快な演奏。
エフゲニー・キーシン(ピアノ)
ウラディミール・アシュケナージ指揮 フィルハーモニア管弦楽団
2008年1月、ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ録音。
鴨のなかの黒鳥。
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