プロコフィエフ「古典交響曲」 プレヴィン指揮ロンドン交響楽団 楠木新の「人事部は見ている。」を読む。
昔、新卒で入った会社はまだ小さかったので、人事部という部署はなく、総務部のなかに人事部門があった。当時はバブルの風が吹きまくっていたから、新規採用に忙しいことは傍目からもわかるような気がした。採用については人事部門は一次考課までで、最終的な権限は現場の役員にあったようだ。この会社では部署の異動なども、もっぱら現場のマネージャークラスが握っていたから、年度末に人部担当の顔色を伺ったりした覚えはない。たまに目をやると、鼻歌を歌いながら観葉植物に水をやっていたりした。牧歌的な空気まんまん。
かように、人事部がもつ人事権は、企業の大きさに比例するようだ。本書は人事担当者の悩ましさにスポットを当てている。ひとつ興味深かったのは、転勤対象者に選定理由を必ずしも説明する必要はないというくだり。
「転勤を命じる場合の人選は会社がその責任と権限に基づいて決定すべきもので、その理由は人事の秘密に属し、これを対象者に明らかにしなかったからといって、それを違法ないし不当とすることはできない」といった過去の判例があるそうだ。「秘密」というところがコワイね。
プレヴィンのロシアものは昔から定評があるし、この演奏も期待を裏切らない。というか、えらくたくさんのお釣りがくるのでビックリする。
登場する全ての楽器がいきいきと躍動していて、なんとも気持ちがいい。流れるテンポから、ホルンやファゴットが要所をピリリと決めるところなどは、じつに味がいい。
ぽかぽか陽気の下、緑の映える公園で、思いがけない名人の大道芸を見るようなワクワク感。
コクがあってキレがあるとはひと昔前のビールのコマーシャルだが、こんなにうまいビールもそうそうないものだ。
これは名演じゃ。
1977年12月、ロンドン、アビー・ロード・スタジオでの録音
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