ショルティ指揮ウイーン・フィルの演奏で、ブルックナーの交響曲7番(ノヴァーク版のようです)を聴きました(1965年11月、ウイーン、ゾフィエンザールでの録音)。
これは、鍛えられた筋肉が隆起するような演奏。
ショルティの7番はシカゴ響の演奏をYouTubeでチラッと聴いただけだけど、精悍な演奏といった印象を持っています。いっぽう、こちらはウイーンだから柔らかくて豊満なのじゃないかと推測しました。
響きは柔らかい。でも、切っ先は鋭い。フレーズの始まりでヴァイオリンがいきり立って奏するところがいくつかあって、いかにもショルティらしい気がして、ほくそ笑んでしまいました。
そうした傾向は1楽章に目立ちます。弦楽器はコクがあって柔和だけど、鳴らせ方は鋭角的。まるで真綿で首を絞められているような感覚。
2楽章は、前楽章に比べたらずっと穏健。間の取り方が自然であり流麗。弦楽器も金管楽器も呼吸がたっぷりと深く、陶酔させられます。頂上はティンパニ、シンバル、トライアングル。ワーグナー・チューバはふんだんに抑揚がついています。
3楽章はやや速めのテンポでありつつ、いささか力が抜けたような運び。甘い響きのトリオはいい。
終楽章は折り目正しく、軽やか。最後は粘る。
この演奏、とくに2楽章を気に入りました。
録音は良好、左右がクッキリと分かれているようです。
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