ブルックナー交響曲第8番1955年のノヴァーク版を使用。
1990年にシカゴ饗のヨーロッパ遠征の折、サンクト・ペテルブルクで
行われた演奏会のライブ録音。
このCDは、シカゴ饗の透明感のある響きがききものです。
ホルン、トランペット、トロンボーンのブラスセクションは完璧。
フルート、オーボエをはじめとする木管郡の、艶のある音色。
そして弦楽セクションの精緻な合奏。
このオーケストラのポテンシャルの高さは、やはり尋常ではありません。
技術的には、ミュンヘン・フィルやウイーン・フィルの比ではないです。
こんなに精度の高いブルックナーの演奏は前代未聞ではないでしょうか。
また、ショルティの指揮は堅い。
第2、第4楽章など、鳴らそうと思えばいくらでもいけるところを、
羽目をはずすことなく、極めて理性的にバランスをとることで、
氷のような、清らかな響きを醸し出すことに成功しています。
しかし…。
聴いた後に、なんにも残らないのです。
スカスカです。
感想は、「音が良かった!」
それだけ。
マタチッチやクナッパーツブッシュ、さらにはチェリビダッケ、
シューリヒトのブルックナーと比べて、感動がない…。
これはある意味、すごい演奏です。
演奏とはなんなのかを、深く考えさせられる音楽です。
マタチッチやクナは、何がいいのでしょう?
根性か。
下手っぴいなのがいいのか。
じっくり歌わせればいいのか。
ひなびていればいいのか。
テンポが遅ければいいのか。
音が悪ければいいのか。
それとも、顔なのか。
ショルティは好きな指揮者のひとりで、同時期に録ったマーラー第5は、
とても良い演奏なのですがね。
ブルックナー演奏には、何が必要なのか?
その前に、コーホー氏に、
「ショルティのブルックナーなど聴くほうが悪い」
などと、バッサリ斬られちゃうのかな。
★古典音楽blogランキング!★クラシック音楽ブログ集★にほんブログ村 クラシックブログPR