ショルティ指揮シカゴ交響楽団の演奏で、ブルックナーの交響曲9番を聴きました(1985年9-10月、シカゴ、オーケストラホールでの録音)。
シカゴ響によるブルックナーの響きは正月の空気のよう。
ショルティはブルックナーの交響曲全曲(0番や00番を除いて)をレコード録音しているし、日本公演でも何曲か取り上げています。
でも彼を、ブルックナーを得意とする指揮者と思っていないのは、ショルティといえばワーグナーやマーラーのほうの印象が強いからでしょう。
彼で聴いたブルックナーは、たしか4,5,6,7,8番。6番は面白かったけど、あとのは、巧いけれども味が薄い印象。
なので、この「第九」も過剰な期待をしませんでしたが、これは素晴らしい。
どの楽器も雄弁に鳴っており、響きは極めて精緻。これは想像だけど、主なメンバーは、コンマスにヴィクター・アイタイ、オーボエはレイ・スティル、トランペットはアドルフ・ハーセス、ホルンはデイル・クレヴェンジャー、などという技巧派(ジュリーニが振った録音もそうかな)。
とはいえ、テクニックだけではなく、ショルティのリードによる抑揚が自然だからか、気分が高揚させられるのです。これほど完成度の高い演奏はそうそうないのじゃないかと思います。
PR