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シューリヒトのブルックナー「交響曲第8番」

2007.04.12 - ブルックナー

シューリヒト

ブルックナー 交響曲第8番 カール・シューリヒト指揮ウイーン・フィル


前回に引き続き、高倉健の映画の話。「新幹線大爆破」である。
1975年の作品。高倉健が犯人役を演じているが、犯行に至るまでの回想シーンが泣かせる。情、情、情にあふれたメロドラマ。一方、爆弾を仕掛けられていることを知った乗客のパニックぶりは、あまりに大げさで笑いを禁じえない。あまりの面白さに、この映画はコメディなのかと思ってしまうくらい。突っ込みどころも満載であり、見ごたえ充分である。
国鉄の職員を宇津井健が演じているが、この人も人情味たっぷりであり、正義感溢れた役柄は感動的でもあり、おいしい役柄だと言える。
2時間30分の長編だが、まったく飽きさせないB級映画の傑作と思う。



新幹線


シューリヒトのブルックナー8番は、EMIのスタジオの方。
この曲の定盤ともいえる作品である。
全体的に、かなりテンポを揺らせた指揮ぶりであるが、聴いているうちに、「これしかない」と思える。実はこれしかない、なんてことはなくて、むしろこういうやり方は今から思えば古い流儀になるのだろうが、それでも聴いている間は「これしかない」と思わせるあたり、すごく説得力があると思う。これを聴いて違和感を持つヒトは、この演奏を気に入らないだろう。
この演奏を、昔、私はコーホー氏の薦めで聴いて以来気に入っている。私はコーホー氏を信頼するわけでは全然ない。むしろ8割方の演奏について???なのだけれども、シューリヒトとクナッパーツブッシュのブルックナーに関しては賛成している。
いつも都会的で粋な音楽を奏するウイーン・フィルはここでは野暮ったいほど無骨であるが、これも指揮者の指導によるものなのか。もしくはブルックナーだからこういう音色を出しているのかも知れないが、これも「これしかない」と思える説得力がある。


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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

シューリヒトのブルックナーの8番、私もU氏に教えてもらいました。そうでなければ、知らなかったかもしれません。そういう意味では、お世話になっています。本当に良い演奏ですよね、もたれないというか、快速のブルックナー、クナはあまり聴かなくなりましたが、シューリヒトは別格です。

高倉健さんですが、若い頃は三枚目の役も演じていましたよね、私は昔の映画、昭和20年代、30年代の日本映画が大好きですので、健さんの三枚目、なかなかのものでしたよ。

ミ(`w´彡)
2007.04.13 Fri 06:10 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

U氏の批評は良くも悪くも目立ちますので、自分にも影響が及んでいるかと思います。今は正直言って、もういいや、という感じではあります(笑)。
シューリヒトは現役のCDも比較的多いため、聴く機会も少なくありませんが、わたしにとって打率の高い指揮者です。特にブルックナーは素晴らしく、何度聴いても色褪せません。

高倉健はずっと東映ですよね。三枚目の役は観たような気がするのですが思い出せません。一連のヤクザ物も今思えばわりとコミカルな味を出していたと思います。老成した健さんも良いのですが、若かりし頃の映画により興味があります。
2007.04.13 21:14

無題 - HIROPON

吉田様 こんにちは
そういえば、私、まだシューリヒトのブルックナーを聴いたことが無かったです。自称「ブルッキスト」としては、まだまだでした。今日聴いた小沢さんの「7番」もこれしかない、と言う感じのコメント書きましたが、シューリヒト盤も聴かなきゃ、ブルックナーは語れない、といった感じですね。
2007.04.13 Fri 16:39 URL [ Edit ]

Re:HIROPONさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

シューリヒトのブルックナーは今でも何枚か現役盤ですが、そのうち、この8番と9番しか聴いていないような気がします。9番もウイーンフィルを振ったスタジオ録音ですが、これもまたいいもので、私の中では3本指に入る演奏です。
シュールヒトの他のライヴ録音なども聴きたいのですが、当方の経済状況思わしくなく(笑)、なかなか手が回りません。
2007.04.13 21:18

無題 - bitoku

吉田さん、こんにちは。

シューリヒトのブル8は私も愛聴盤です。クナのブル8と共にヒストリックな演奏の再右翼です。
宇野氏が言うインテンポで素っ気無くというより、意外(?)にテンポの揺れがありますね。

>「これしかない」と思える説得力がある。

同感です。この説得力が他の演奏を引き離して私の愛聴盤になった理由かも知れません。納得の1枚です。(笑い)
他の曲のライヴを聴いてもシューリヒトはテンポの揺れが結構あり、宇野氏の言葉で先入観を持たれるのは要注意かも知れませんね。

>私はコーホー氏を信頼するわけでは全然ない。むしろ8割方の演奏について???なのだけれども、

全くもって同感です。彼の本を読んでいると所詮”個人の好み”以上でも以下でもないです。
音楽評論の客観性なんかより好きなものへの熱~い主観性の方が共感できます。そういう場合は良い文章を書いてくれますね彼は。
彼はたまに嫌いなものをメチャ貶しにする事があって読んでいると如何なものかと思います。

すみません。なんか”コーホーを語る”みたいになっちゃって。。。



2007.04.14 Sat 15:56 URL [ Edit ]

Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

シューリヒトのブル8は、何度聴いても飽きない名演奏です。1本芯が通っていて、明治男の気概を感じます。もっともこの時代のヒトはみんな明治男ではありますが…。
宇野功芳氏の評論は、なんだかんだ言いつつも読んでしまいます。仰るとおり客観性は皆無で、思い入れだけがひとり歩きしたような文章は特異であり、異彩を放っていますね。
先日、HMVを覗いたときに、「大地の歌」と毛筆で書かれたジャケットがありました。気になって見てみるとワルターVPOのライヴで、「これがUNO!」というシリーズの第一弾のようでした。「大地の歌」の字のうしろに薄く「UNO」と、これも毛筆で書いてあり、相変わらずの健在ぶり。微笑ましかったです。
2007.04.14 18:03
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