レヴァイン指揮シカゴ交響楽団の演奏で、ブラームスの交響曲3番を聴く。
スピード感があって、カラッとした肌触りがするところは、同時期に同じアメリカのオーケストラで録音されたマゼール指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏に少し似ている。マゼールの直線的な演奏に対し、レヴァインはところどころ曲線的な味付けを行っている。
冒頭から驚かされる。トランペットの音が高いのだ。1オクターヴ高くしているのか、あるいは他の演奏がトランペットを抑えているのか。どうなのだろう。少し違和感がある。悪くはない。
全体を通して、弦楽器がとても柔らかい。ショルティやジュリーニが指揮するものとは少し違う色合い。RCAの録音のさじ加減も関係しているのだろう。
1楽章は、ふくよかなストリングスに対して副旋律のファゴットがよく聴こえていて、立体的な音が楽しめる。
2楽章は冒頭のクラリネットとファゴットとの主題がいい。小さな抑揚がつけられていて両方の音がしっかりと聴こえる。とても穏やかな気持ちになる。
3楽章は、例の有名な旋律をチェロが朗々と歌う。1フレーズごとに深い呼吸をつけており、憂愁の味わい豊か。あたかも木のぬくもりのような温かさを感じるいっぽう、芯がしっかりとした音色。シカゴ交響楽団というと、もっぱらブラス・セクションばかりが評価されるが、弦楽器がとてもいい。
4楽章は推進力が強い。ティンパニの強い打ちこみから主部に入ると、音楽がグングンと力強く進む。テンポはやや速めでありつつ、ひとつひとつの楽器の扱いはとても丁寧。楽章を通して非常に高い熱気をもっており、心躍る。この曲を聴いてそんな気持ちになったのは、久しぶりのことだ。
1976年7月、シカゴ、メディナ・テンプルでの録音。
すがすがしい。
在庫がなく、ご迷惑をおかけします。
5月下旬に重版できる予定です。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR