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モントゥーのフランク「交響曲ニ短調」

2008.01.30 - フランク


frank

フランク 交響曲ニ短調 モントゥー指揮シカゴ交響楽団


青野春秋の「俺はまだ本気出してないだけ」を読了。
「自分探し」のために会社を辞めた40歳の主人公が、目指したのは漫画家。
ファストフードのバイトをしながら、出版社に持ち込むがなかなかうまくいかない。
ふと立ち入ったファッションヘルスの店で、働いている娘と遭遇する。なんとも気まずいが、すぐに和解する軽やかさ。
不安そうに、生暖かい目で見守る家族。
実父のぼやきが、いい味を出している。
最近読んだ漫画では一押しである。そんなに読んでないので偉そうには言えないけど。


モントゥーのフランクは、静かなところはゆっくりしていて、激しい部分は速い。
わかりやすいやりかたであるが、こういうベタなことを最近の演奏家はやらないので、新鮮に感じる。
驚いたのは、ジュリーニを思わせるほどの第1楽章第1主題の遅さであるが、さらにビックリなのがヴィオラのキザミ。
ひとつひとつの楽器の軋みが聴こえるような、鮮明で精妙な響きを聴かせてくれる。
速い部分の、ブラスの明るく開放的な響きも、後年のシカゴの実力を彷彿とさせる。
第2楽章は、比較的ゆっくり目に淡々と進む。初演時にグノーが批判したという、コーラングレの深く憂愁を帯びた音色が効果的なのは言うまでもなく、軽やかなホルン、潤いのあるヴァイオリンなど、主役を取り巻く周囲のプレイヤーがみんなうまいし、味わいがある。
終楽章は出だしから、パンチの効いた味付けだ。「勝利の動機」における金管の、手堅くも荘厳な響きは、もうこれ以上は望めないのじゃないかというくらい達者だ。
後半に進むにつれて、弦楽の激しいうねりと金管の咆哮はますます冴え渡り、最後は壮大なクライマックスというにふさわしい盛り上がりを築いてゆく。

録音は1961年1月7日で、たいへん鮮明。精彩を放つシカゴ饗をうまく捉えている。
この曲のベストに推す。
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