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ジュリーニのフランク「交響曲ニ短調」

2008.01.13 - フランク
giulini

フランク 交響曲ニ短調 ジュリーニ指揮ウイーン・フィル

秋葉原に何故か背広を買いに行き、その帰りに寄った神田明神。
新年を迎えてだいぶたってしまっているが、日曜なのでそこそこ人出があり賑やかであった。


kanda


ジュリーニのフランク、これは3度目の録音のはず。全部で46分かけた長丁場であり、これを聴き通すには、ジュリーニと一体になるがごとく感情移入するしかないと予想したが、それはあながち的外れではなかったようだ。
第1楽章が最初の関門だ。もうひたすら遅い。かといって、途中で特に変化があるわけではなく、悠揚迫らざる姿勢を終始くずすことなく、最後まで押し通している。
いつ終わるともしれない同じような旋律が延々と繰り返され、気が遠くなってくるが、感情移入していれば問題ない。
2楽章は、さほど遅さを感じない。やや遅いくらいの感じか。コーラングレは重厚な響きを醸し出しており、重くたちこめる雨雲のような弦の響きによく合っている。
弦のきざみの上に折り重なる木管楽器の果てしない旋律。
ピアニッシモで奏されるティンパニのトレモロに呼応する弦のうねり。
ライナー・ノーツで、金子健志がフランクとブルックナーの類似性を説いているが、確かにこれはブルックナーの世界と合い通じるものがあるかもしれない。長さにおいても。
ラストのハープがとても効果的。さすが、ジュリーニはディテイルの鬼でもある。
終楽章も重苦しい。大体の演奏は、ここでヨロコビが解き放たれるのだが、ジュリーニはじっと我慢し、節度ある大人の態度を貫きとおす。
ファンファーレでの、オーケストラの音のブレンドは絶妙だ。バランス感覚の妙。どのパートも突出しているわけではなく、うまい具合に混ざり合ったドレッシングのように溶け合う。
最後は怒涛のクレッシェンド。晩年のジュリーニの底力。
とはいっても、全体を通して、やはり「遅い」感は否めない。この演奏を聴きとおすには、まずCDに記載してあるタイムを確認のうえ、覚悟して聴くことが肝要である。
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