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グールドのバッハ「トッカータ ホ短調」

2008.05.17 - バッハ


gould

バッハ トッカータ集 グールド(Pf)


録画しておいたNHK「知るを楽しむ」を観る。グールドの巻、第1回である。
話題の中心は、デビューアルバムの「ゴルトベルク」。
4本の足のそれぞれの長さを調節できる椅子も登場。
この曲、数学的にも興味深い事実があるという。
最初のアリアは32小節からなる。最後のアリアも、32小節だ。で、全曲は32曲からなる。
さらに、この32小節のアリアで鳴らされる、低音部のアクセントは、全曲に渡って同じ音列であるらしい。
変奏曲ということもあるし、なにしろバッハだから、こういうことがあってもさほど驚きはないものの、結果として(もしくは恣意的なのか、定かではないが)こうして完全なフォルムで作られている。
こうしたことは、改めて知識として知ると、こんどは違う角度から聴いてみようと思ったり、より一層興味が湧いてくる。
音楽には必ず形式が伴う。ゆえに、数学的な意味があることが、音楽の優れている要素のひとつだと考えてもあながち間違いじゃないのだろう。

グールドのトッカータ「ホ短調」は、「グレン・グールド バッハ・リサイタル」に「イタリア協奏曲」や「パルティータ ニ長調」とともに収録されていたもので、昔このCDを実によく聴いた。
その後、トッカータ集も購入したが、やはりこのホ短調を気に入っている。
このトッカータは3部から成っていて、ことに3曲目のフーガに魅せられた。駆け抜ける暗い情熱の迸りがあまりに鮮烈。
グールドのピアノのなんと澄んでいることか。柔らかなタッチからは粘りのある弦の感触が生々しく、とても60年代の録音とは思えない。

1963年4月の録音。

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Comment

無題 - neoros2019

「駆け抜ける暗い情熱の迸りが鮮烈」とは言いえて妙ですね。
この録音は未聴です
私は全CDを集めているような熱いグールドファンとはまるで違いますが好きな演奏は定期的に繰り返し聴き続けています
2008.05.17 Sat 22:59 URL [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

グールドは十数年かけてトッカータを録音しましたが、初期に入れた「ホ短調」がとても印象的な曲と演奏です。
グールドであればなんでもいいというわけではなく、曲によってムラがあるように感じますが、なかではバッハは押しなべていい演奏が多いようです。CBSの録音はクオリティが高いです。
2008.05.18 20:40

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

グレン・グールドの番組
私も録画していますが、もう一つのような
貴重な映像を見せてくれるだけで良いかな、とも~。

グールドの斬新さ
1930年代生まれだとは思えないですよね
今聴いても新しいというか、特異なものですよね。
ああいう音楽がどこから出てくるのか、それを少しでも知りたいものですが~。
吉田秀和さんも少しだけ出ておられたですよね~

グールド、ゴルトベルクだけしか持っていません、しかも最近入手しました。まだまだ聴きたい音楽、演奏が多数あって困ってしまいますね~

ミ(`w´)彡 
2008.05.18 Sun 05:23 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

グレン・グールドの番組、ご覧になりましたか。
吉田秀和や坂本龍一がコメントしていますね。
演奏前に腕をお湯につけたりとか何種類もの薬を持参するシーンを初めて見ました。

64年にテレビ用にとったゴルトベルクをやっていましたが、スタッカートが利いていて、新旧録音とは違う面白さがあったようです。全曲を聴いてみたいと思いました。
トッカータ「ホ短調」は、グールドの残したバッハのなかでも白眉じゃないかと思います。
2008.05.18 20:45

無題 - bitoku

吉田さん、おはようございます。

NHKの「知るを楽しむ」は見逃してしましました。再放送に期待します。

>数学的な意味があることが、音楽の優れている要素のひとつだと考えてもあながち間違いじゃないのだろう。

全く同感です。

やはり優れた音楽は宇宙の法則のような、完全性とか一貫性がありますね。
バッハの音楽には”個”を超えた何かに無性に魅きつけられます。

と言いつつグールドのトッカータはCDを持っていません。
色々聴かなければならないものが多過ぎて手が回ってないです。(笑)



2008.05.18 Sun 12:31 URL [ Edit ]

Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

NHKなので再放送をやるのではないでしょうか。短いですが密度の濃い時間でした。

バッハの音楽は数学的だと言われますが、聴いていて理解できないものの、解説を読むとなんとなくわかったような気になります。
それが要因などうかはわかりませんが、最近は以前に比べてバッハを聴くことが多くなりました。
とくに器楽曲がいいのです。音が少なくてわかりやすいというか…。
グールドのバッハも、まだ全部聴いたわけではないので、じょじょに聴いてみたいと思います。
2008.05.18 20:54

無題 - neoros2019

ドイツの若い奏者マルティン・スタットフェルトとスタニスラフ・ブーニンのバッハピースを2枚衝動的に購入しました。
両方に小品コラールBWV639があったからです
それはそれとしてグールドでお馴染みの2声のインヴェンションやイギリス組曲3番が録音も新しいのも手伝った耳に新鮮に響きました
2008.05.29 Thu 13:05 URL [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

ブーニンは懐かしい名前です(ときどき日本にきているようですね)。ショパンコンクール優勝直後に聴いたショパンの鮮やかな演奏は今でもよく覚えています、ただ、バッハは聴いたことがなにのです。ブーニンのバッハ、興味深いです。
スタットフェルトは、名前だけは知っているものの、ピアノは聴いたことがありません。どんなバッハでしょうか?
グールドのインヴェンションやイギリス組曲は、最近(というかずいぶん)ご無沙汰です。聴きなおしてみたいですね。
2008.05.30 22:22
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