ロストロポーヴィチ指揮ロンドン・フィルの演奏で、チャイコフスキーの交響曲4番(1976年-77年の録音)。
1970年代あたりのEMIの録音の出来には波がある。ロンドン・フィルに限っても、このロストロポーヴィチやヨッフムのブラームス、ジュリーニの一連の録音、テンシュテットのマーラーなどは、霞がかかっているようで、ボンヤリとしている。それなりに味はあるのだが、細部が克明ではなく残念なところがある。
そのいっぽう、カラヤンの「サロメ」などは広がりがあって、とてもいい録音だった。こういうものもあった。
ロンドン・フィルは好きなオーケストラ。というのも、初めて聴いた外来のオーケストラだから。1980年、ショルティの指揮で。「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲の最初が鳴った時は、なんて柔らかな音なのだろうと、のけぞったものだ。
この演奏でも、彼ら特有の、厚い雲がかかったようなどっしりした響きを聴くことができる。
ロストロポーヴィチの指揮は、案外にオーソドックス。オーケストラの重い響きを基調にして、足取りが堅実でしっかりしている。1楽章は、ティンパニが存在感を放っている。
2楽章のオーボエはいい。深い呼吸から奏でられる美しさは孤高のよう、憂いもある。
3楽章は勢いがいい。ピチカートに迫力があり、ぐいぐいと推進する。
4楽章はおおらか。シンバルが気持ちよく炸裂。中間部のしっとりした雰囲気もGood。
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