コートの季節になると観たくなる映画がある。ジャン・ピエール・メルヴィルの「サムライ」である。
コートを着こなすアラン・ドロンがすこぶる格好いいのだ。前半は薄いグレーのトレンチコート、後半は黒のステンカラーコート。なぜ変わるかというと、銃で撃たれてコートが破損してしまうからなのである。
これを観て、気分だけはアラン・ドロンになって、冬支度をするのだ。
このあいだの日曜に録っておいたN饗アワーを観る。N饗って、うまいことは認めるけど、表情が薄いのであまり好んでは聴かないのだが、「冬の日」を全曲やるというので楽しみにとっておいた。
これはなかなかの名演だった。
全体的に端正な演奏で、特に木管楽器がいきいきしていて、いい響きを奏でている。アンサンブルも揃っていて、完成度の高いものだ。
圧巻は終楽章。明るく轟くブラスのパワーは、まるで重たくたちこめる冬の雲を切り裂く一筋の陽光のように鮮やかで効果的。キメの細かいシンバルもいい。
ネルロ・サンティは、いつも眠たそうな顔をしているので、なんだかぼやっとした印象があるのだが、じっくり聴いてみると、細かいところをないがしろにしない堅実な音楽をつくるヒトだということがわかる。
楽器をじっくりと歌わせながら、がっちりとした楷書体の筆致で書き上げる。
イタリアの指揮者がチャイコフスキーを好むのは、北への憧れなのかもしれない。PR
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
rudolf2006さんもご覧になりましたか。リハーサルも暗譜というのは珍しいのでしょう。そしてパートのところまで出かけていくところ、面白いですね。ああいうのは初めて観ました。練習時間が長びきそうで、団員には気の毒かもしれませんが、聴くだけの立場であれば関係ないですね^^
そうそう、楽器の配置も珍しいものでした。ああいうのを日本のオケでは見たことがありません。オペラのピットがああなのですか。対抗配置とも違っていて、たまにヨーロッパのオケに見かけるものでした。
それにしてもN饗は、指揮者によって変わるオケですねえ。
2007.12.21 21:29
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