アブラヴァネル指揮ユタ交響楽団の演奏で、チャイコフスキーの交響曲3番「ポーランド」を聴く(1972~73年、ソルト・レイク・シティ、モルモン・タバナクルでの録音)。
チャイコフスキーの交響曲は、いま思えば初期のものでも比較的とっつき易い音楽だと思うが、「ポーランド」は長らく馴染めなかった。それがここ10年くらいの間に、面白く聴くことができるようになった。ある演奏からインスピレーションを与えられたというわけじゃなく、たまに聴いているうち、なんとはなしに慣れてきた。
なので、このディスクも他の曲と同様にとても楽しんで聴いた。
アブラヴァネルは、相変わらず滑舌がいいというか、メリハリをはっきりとつけた音楽作りをしている。1楽章の序奏のところなんか、木管楽器をクッキリを浮き立たせていて、とても見通しがいい。第1主題出現以降のところも、オーボエ、ファゴット、クラリネット、フルートが弾けんばかり、いきがいい。
2楽章も好調。メランコリックで可愛らしいメロディーを、木管楽器が軽やかに奏でる。
3楽章は、第1主題と第2主題とのひも付けがやや薄いと思われ、それが理由で長年敬遠していたのかもしれない。旋律はとても綺麗なのだけれど。
4楽章は素晴らしい。この速さ、めくるめく雪の乱舞のよう。
5楽章もアブラヴァネルは好調。直線的な音作りは切れ味がよく、パンチも効いている。終結部はいささか唐突だが、明るく元気に締めくくられる。
パースのビッグムーン。
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