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ブーレーズのストラヴィンスキー「火の鳥」

2009.04.14 - ストラヴィンスキー
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ストラヴィンスキー「火の鳥」 ブーレーズ指揮シカゴ交響楽団


五木寛之の「人間の覚悟」を読む。
非常に重いテーマを扱っているが、語り口は深夜放送のように淡々としていて読みやすい。
ときどきユーモラスな文章が登場して和ませてくれる。ここではこれに着目したい。
「自分の存在自体に、何か世のため人のためになることがあるのを、忘れてはいけません。私自身、美しい人を見ると何となく心がなごむし、すごいミニスカートを見たら、あれもお布施だな、世間に対する施しの一つだとありがたく思うようになりました。」
前から常々思っていたが、ミニスカートはやはりお布施だったのだ。
ミニスカートを穿く女性の慈悲の心、いつもありがたくちょうだいしたいものである。


ブーレーズの3度目の「火の鳥」は全曲版で、90年代前半のもの。
当時世界最高峰のシカゴ饗との録音ということで、大いに期待して聴いたもの。
今聴いても、技術的な完璧さ、スマートさは色褪せない。肌触りは滑らかですべすべ、都会的に洗練されつくしたような演奏である。これ以上、上手に演奏することは難しいのじゃないかと思う。
では面白いのかときかれたら、そうでもないと答えてしまおう。
まず、ソロ楽器の表情が薄い。みんな同じ楽器なのじゃないかというくらい、音が平板である。
それから、仕上がりがなめらかすぎて、自然な抑揚が希薄な感じがする。BBC饗やニューヨーク・フィルとの録音では、ミツバチが乱舞するような木管楽器のめくるめく応酬があったが、ここではみんなツンとすましているみたいで味気がない。
DGに移籍してからのブーレーズには、この類の演奏がわりと多いような気がする。
仕上がりは文句のつけようがないけれど、ワクワク感がないのだ。

録音は悪くないが、ダイナミックレンジがやたらに広い。冒頭がしっかりと聴こえるように音量を合わせると、後半からだんだんと部屋の中が大音響に包まれていくので、たまらずボリュームを絞る羽目になる。


1992年12月、シカゴでの録音。
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