ストラヴィンスキー「プルチネッラ」 ズヴェーデン指揮 オランダ放送室内フィル谷川俊太郎の「世間知ラズ」。
詩を書くとはどういうことだろう。本書の帯にはこうある。
「生きることを物語に要約してしまうことに逆らって」。
詩とは生きることを要約することのようでいて、そうではない。
生きている瞬間瞬間の感得をことばにすること。だから、物語ではないのだね。
私はただかっこいい言葉の蝶々を追っかけただけの
世間知らずの子ども
その三つ児の魂は
人を傷つけたことにも気づかぬほど無邪気なまま
百へとむかう
詩は
滑稽だ
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンの指揮でストラヴィンスキーの組曲「プルチネッラ」を聴く。
ズヴェーデンは、19歳にしてコンセルトヘボウ管弦楽団のコンサートマスターを務めた俊英で、95年に指揮者に転向している。現在はオランダ放送フィル、オランダ放送室内フィル、ダラス交響楽団の音楽監督の任についている。まさに八面六臂の活躍で、このストラヴィンスキーでも冴えた手腕を発揮している。
この「プルチネッラ」は1949年版の組曲であるが、あくまで著作権を保護する目的での改訂であったため、内容の変更はない。オリジナル、というか、作曲者自身がコンサート向けに編曲したものと同様である。
ズヴェーデンの指揮はじつに生き生きとしている。切れば血が出るような、という、まあ月並みだけどこういう表現がぴったりかも。
それになにより、オケが素晴らしい。この室内フィルは、オランダ放送フィルのメンバーで構成されていると思われる。このオーケストラはデ・ワールトのマーラー・シリーズで一躍有名になったと思うが、私はハイティンクの「ファウストの劫罰」を聴いて唸った。ことに管楽器のキレがとてもよく、弦楽器も安定していて、世界の1級クラスにも引けを取らないと感じたものだ。
この演奏でも、あたかも天空を舞うような木管楽器を中心として、質の高い演奏を繰り広げている。
今の気分では、この演奏を「プルチネッラ」の代表盤にあげたい。
2008年8月、ヒルヴェルサム、MCOスタジオでの録音。
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