インバル指揮フィルハーモニア管/「幻想的スケルツォ」ハイティンクに次ぐ全集男といえば、インバルだろう。
録音の数そのものはカラヤンやバーンスタインといった列強に及ばないが、全集率が高いのである。ちゃんと数えてはいないが、6割は超えている雰囲気である。
プロ野球なら優勝ペースといえよう。
全然関係ないが。
・ブルックナー 交響曲全集
・マーラー 交響曲全集
・ショスタコーヴィチ 交響曲全集
・ベルリオーズ 交響曲全集
・ブラームス 交響曲全集
・シューマン 交響曲全集(2回)
・ラヴェル 管弦楽曲全集
・ストラヴィンスキー 三大バレエ
・ショパン ピアノ協奏曲全集
ある曲を1度録音したら最後、すべてをやらなければならない性格なのか、レコード会社をその気にさせる何かがあるのか。
だけど、そこには彼の芸風とは少し矛盾したものを感じる。
そもそも彼は、1つの曲に対してじっくりと腰をすえて研究し、リハーサルを何度も執拗に重ねて、初めて公のものにするという印象があるのだ。その結果、驚くほど質の高い音楽を提供してくれるのだが、その反面、あまり時間のとれなかったときは平凡な演奏しか生み出すことができない、と思う。
前者でいえば、あのショッキングだったブルックナーの第8や、マーラーの第7などの名演奏。
そういう点で、彼はシノーポリと同じように、音楽に対して狭く深いアプローチをしてゆく音楽家なのではないかと思う。
とはいえ、彼の作った全集物は、決してやっつけ仕事ではなく、それぞれにあまりムラがなく、コンスタントに平均点以上を叩き出している。
職人芸のなせる業だ。
それだけに、レコード会社からの信頼もあり、そこそこ売れているのではないだろうか。
インバルの「火の鳥」は、強烈なインパクトはないながら、スキは見当たらない。
そつなくこなしている演奏のひとつであるように思う。
しかし、余白(といっては失礼か)に収録されている「幻想的スケルツォ」は、凄くいい。
オーケストラの各楽器が生き生きと空中飛行しており、めくるめく色彩感がまぶしいくらい。
天衣無縫の闊達さ。
耳に快感な13分間。あまりに良すぎて、マイッタ。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
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実は、私もシューマンの第2と第4はかなり気に入っています。ロマンが色濃くたゆたっている感じがいいですネ。管弦楽法が拙いという意見もありますが、全く気になったことはありません。
インバルはいまひとつメジャーになり切れないヒトかも知れませんが、実力はトップクラスだと思います。