ショパン 「スケルツォ集」 イーヴォ・ポゴレリチ(Pf)サキ(中村能三訳)の「開かれた窓」を読む。
サキの新潮文庫に含まれている短編集は、どれも珠玉とも言える作品ばかり。同じ短編の名手であるO・ヘンリと異なるところは、ブラックなユーモアが効いているところ。この「開かれた窓」もそう。招かれた家の窓が全開になっている。不審に思った主人公が聞いたのは・・・。
短編というよりは掌握小説とも言えるほど短いストーリーだが、起承転結がギッシリと凝縮されていて、アイリッシュ・ウィスキーのように密度が濃い。
毎晩、寝床で1編づつ読むのが楽しい時間だった。
ポゴレリチのピアノでショパンの「スケルツォ」を聴く。
これは鋭利な刃物を突きつけられるような、のっぴきならない演奏。
一つ一つの音を研ぎ澄ませ、音量に細心の注意を払っている。
遅めのテンポと冬の湖のような冷やかな雰囲気はミケランジェリ盤(DG)に少し似ているが、こちらのほうがさらに神経質な佇まいをみせている。
樹氷のように細やかで冷たく、そして触れたらポッキリと折れそうなほどに繊細な、凝りに凝った演奏。冴えわたる高音の音響美が光る。
1995年9月、ワトフォードでの録音
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