ボレットのピアノで、リストの「シューベルト歌曲トランスクリプション」を聴きました(1981年11月、ロンドン、キングズウェイ・ホールでの録音)。
トランスクリプションとは、リストがシューベルトの歌曲をピアノ向けに編曲(改変)したもの。声の豊かさと引きかえに、ひたすらピアノの煌めきを楽しめる音楽となっています。
なので当然ながら、それぞれの曲の半分あるいは半分以上は、リスト味。
好きなリスト弾きは、クリダとベルマンとボレット。音色の細やかなニュアンスの巧みさにおいてはクリダ、スケールの大きさではボレット、ベルマンかな。
リストの編曲(改変)は音が多くて華やかなので、下手をしたらチンドン屋みたいな騒ぎになりかねないと思うけど、ボレットの重厚なタッチは常に高貴な空気を纏っているようで、ドッシリと落ち着いた佇まいとなっています。
選曲も好み。最後は「魔王」で締めくくられます。子供の声がコワーい演奏。
ます/どこへ/さようなら/さすらい/菩提樹/聞け聞けひばりを/水に寄せて歌う/郵便馬車/わが家/涙の賛美/魔王
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