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シュライアーとラゴスニヒのシューベルト「美しき水車小屋の娘」

2009.09.06 - シューベルト

sch

シューベルト「美しき水車小屋の娘」 シュライアー(T) ラゴスニヒ(G)


「水車小屋」はピアノもいいけれどギターはまた格別だ。
緑あふれる水車小屋の牧歌的イメージにどことなく合っていることに加えて、見た目でも歌手とギターとの素朴なたたずまいがよく似合う。この曲の演奏の大半はビアノによるものだし、普段聴いているときはそんなことをおもわないけれど、たまにギター版を聴くと実に合っているなあと感じるのだ。ビアノは器と音量の大きさもさることながら、見た目の高級感があるゆえ、下手をすれば歌手を食ってしまう威圧感があるように思える。
シュライアーとラゴスニヒの演奏は発売当初から評価の高いもので、いま聴いても色褪せないどころか「水車小屋」の録音の中で最高峰に位置するものだと思う。
シュライアーは澄みきった美声で、若者の甘くて苦い恋を歌い尽くす。歌というよりは、語りと言ったほうが近いかもしれない。片思いの女がつれない態度をとっても声を荒げることなく、淡々といっていいくらい抑えて語る。その控え目さが涙を誘うのだ。
ラゴスニヒの技術は高い。速いパッセージも楽々弾いている。ギターについても技術的なところは皆目わからないが、去年に生を聴いた時、鈴木大介がけっこうきつそうに弾いていたので、難しいのではないかと思っていたのだ。もっともこれはスタジオ録音であるからそのあたりは差し引くべきかもしれない。
ラゴスニヒの最大の聴かせどころは「涙の雨」。たっぷりとしたヴィブラートは、涙の雨が水面に落ちた波紋のよう。痺れるくらいに甘い。たまにはこういう甘さもいい。
シュライアーの歌唱の深みは「小川の子守歌」でピークに達する。しっとりと自然な抑揚のある歌いぶりは、全曲を締めくくるにふさわしい。ひとつひとつの言葉を実に丁寧に噛み砕いて歌い尽くしていて、なぜかドイツ語をわかったような気にさせられるのだ。


1980年、ドレスデンでの録音。
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Comment

無題 - neoros2019

シュライヤーとラゴズニッヒは二人ともかねてより大好きなアーティストです
ラゴズニッヒの音には何ともいえない気品が漂いますね
2009.09.07 Mon 22:55 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントをありがとうございます。

私もシュライヤー好きです。昔、新宿文化センターで聴いた「冬の旅」そしてこの「水車小屋」。すばらしい歌手です。
ラゴズニッヒはこのCDでしか知りませんが、いいギターを聴かせてくれます。
2009.09.08 12:51

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます

今回も、まだ聴いておりません。
以前、ヴンダーリッヒの「美しき水車屋の娘」をこのブログで教えていただき、買ったのを思い出しました。

シュベルトは、ギターの演奏もしていたと聞いたことがあります。とすると、歌手とギターの方が、歌手とピアノ版よりは、アットホームな感じがするのかもしれませんね〜。

吉田さんの感想によると、ギターも相当に上手いようですね〜、一度、聴いてみたいなと思っています。

ミ(`w´彡)
2009.09.08 Tue 10:18 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントありがとうございます。

「美しき水車屋の娘」はヴンダーリヒもいいですがシュライアーのギター版もすばらしいです(オルベルツとの演奏も忘れられませんが)。
この曲に関して、通常用いられるピアノもいいですが、ギターの演奏は格別です。曲にも合うのでしょう。「冬の旅」たどちょっと違う感じがします。
2009.09.08 12:55
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