シベリウス 交響曲第6番 マゼール指揮ピッツバーグ交響楽団坂本光司の「日本でいちばん大切にしたい会社」を読む。
著者は、会社経営の目的は以下の5人の幸せを果たすことだと言う。
1.社員とその家族
2.外注先・下請企業の社員
3.顧客
4.地域社会
5.株主
これを踏まえて、具体的に5つの会社の活動を取り上げている。
なかでも印象に残ったのは、寒天の製造を行っている「伊那食品工業株式会社」を紹介しているくだり。
一時期、ダイエット効果があるということで全国から注文が殺到した。そのときに会長が口にした言葉がふるっている。
「ご注文いただいて、どうもありがとうございます。しかしわが社がいちばん大切にしているのは社員です。社員に残業させることはできませんので、せっかくのご注文ですが今は対応できません」。
結果として苦情が殺到し、社員の希望もあって増産せざるを得なかったとのこと。
それにしても、この経営者の心意気は痛快。こうした会社が、日本にもまだあると思うと、なんだか楽しくなってくる。
久しぶりにマゼール箱を聴く。
ピッツバーグ交響楽団を振ったシベリウスのシンフォニー、どれも立派な演奏である。マゼールにしては変化球が少なめ、おおむねど真ん中のストレートで勝負をしている。こういうマゼールもいい。
今日は、いままであまり馴染みのなかった6番を取り上げてみる。
出だしの弦楽器の哀感漂う響きがいい。それにオーボエ、フルートが絡んでいくと、もうそこはフィンランドの雪世界。
主部になってテンポが速くなると、弦の素早い動きにフルート、ホルンが乗ってきて、あたかも雪にきらめく妖精の舞をイメージさす。
ニ短調という調性にしては、全体に明るい。雪の反射光によるものなのか(←そればっかり)。
1楽章はアレグロ、2楽章はアレグレット、3楽章はポコ・ヴィヴァーチェ、終楽章はアレグロということで、この交響曲には緩徐楽章がない。よって、活発で動きが速い。
ピッツバーグ響のカラッとした硬質な響きは、この曲にそれなりに合っているように思う。風情は乏しいが機能的であり、弦と管とのバランスがいい。
1992年5月、ピッツバーグ、ハインツ・ホールでの録音。
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