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ベームのR・シュトラウス「エレクトラ」

2007.02.17 - R・シュトラウス

リザネク

R・シュトラウス 「エレクトラ」 ベーム指揮ウイーン・フィル エレクトラ:レオニー・リザネク クリテムネストラ:アストリッド・ヴァルナイ クリソテミス:カタリーナ・リゲンツァ オレスト:フィッシャー・ディースカウ


忙しさにかこつけて(実際はさして忙しくもないが)買ってから10年も手付かずだったクリスティーの「アクロイド殺人事件」、読み始めたら面白くて一気呵成に読んだ。
イギリスの片田舎に住む金持ちが何者かに殺害される。たまたまその付近に隠遁していたアルキュール・ポワロが巻き込まれて事件解決に導いてゆく話である。何故か途中で犯人がわかってしまった。いやまったく根拠はなくてただのヤマ勘でしかないのだが…。なので殺人の手法は最後まで読んでようやくわかるという始末。
わかってみれば単純にして明快、登場人物も多すぎず少なすぎずでいい感じであった。

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R・シュトラウスのオペラ「エレクトラ」は古代ギリシャ悲劇をもとにホフマンスタールが脚色したものであるが、もととなった原作は、すでにアイスキュロス、エウリピデス、ソポクレスの3詩人によって劇化されていたとのこと。

あらすじは以下のとおり。
舞台はミケネーの宮殿。エレクトラは実母のクリテムネストラとその情人のエギストに殺された父親のアガメムノンを忘れられない。それを妹のクリソテミスと嘆きあう。そこへ死んだと噂されていた弟のオレストが仲間を引き連れて帰ってきて、クリテムネストラとエギストに復讐する。
それを見たエレクトラは踊り狂って死ぬ。

簡略すぎるあらすじなのでわからないかたもおられるかも知れないが、私もいまひとつわかっていない。最後に何故エレクトラが死ぬのか理解に苦しむのであるが、要するに狂人だったということか。わかるためには台本の前提となる原作を深く読まないといけないのでしょうね。

とはいえ、音楽は充分に堪能することができる。初演は1909年にドレスデンの宮廷劇場で行われているが、当時としては急進的な音楽について「電気椅子にかけられた聴衆」というカリカチュアで風刺されていたようだ。
その音楽は今聴いても斬新であり目覚しいオーケストレーションに耳は釘付けになる。これはベームの最晩年、というかおそらく生涯最後のセッションであるが、老いを全く感じさせない凄烈な音楽を聴かせてくれる。当時ベームはウイーン・フィルと数多くのレコードを出していて、年齢相応に枯れた味わいのあるものが多く、必ずしも評価の高いものばかりではなかったが、この「エレクトラ」は気合充分、ベームの渾身の力を振り絞った彩り鮮やかな不協和音のオンパレードで、まったく若いといわざるをえない。ウイーン・フィルもときに豪胆ときに精緻な響きを余すところなく披露している。
歌手は、みんなすきっ腹にこたえる美声豪声を聴かせてくれるが、なかでも印象的だったのは、エレクトラとオレストが出会うシーン。なんだか不思議に感動的なのである。リザネクとフィッシャー・ディースカウの演技と声はたっぷりとした情感に溢れていて、大変立派なものだ。

それにしてもこのジャケットのリザネク、怖すぎですな。
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Comment

無題 - Niklaus Vogel

吉田さん、こんばんは!
高校生のときに「アクロイド」を読んで、まんまと引っかかりました。絶賛して友人に薦めたところ、吉田さんと同じくして、途中で犯人が分かってしまったそうで、「今まで読んだ最悪の本、時間の無駄だった」とこき下ろされました(笑)。多くのさまざまなプロットが、いくつかの焦点へ向かって集約していく謎解きがとても愉しめたのですが…。
この「アクロイド」を読む少し前に、私は「エレクトラ」と出会いました。感激の嵐でしたが、一時期からあまり聞かなくなってしまいました。リザネックもたいへん興味がありますが、きわめて少ないヴァルナイの映像ものということで、このベームの遺産はぜひ観てみたいと思っております。
今月はリヒャルト・シュトラウスまで手がまわりませんので、吉田さんのエントリー、とても愉しく拝読いたしました。
またよろしくお願いいたしますm(_ _)m
2007.02.17 Sat 21:00 URL [ Edit ]

Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

「アクロイド」読まれましたか! 途中で犯人がわかったといっても、かなり裏をかいての直感でしたので、さしたる理由はありませんでした。全体的にはかなり面白かったです。今後はしばしばクリスティーを読むはめ(?)になるかもしれません。
この「エレクトラ」ではヴァルナイも頑張っています。すでにかなり歳を召しているはずですが、迫力は歌も映像もリザネクに負けておりません。
これはLDを視聴しましたが、DVDでも出ているようです。ビデオ映像なので演奏シーンはありませんが、できることならばベームの指揮ぶりを見てみたかったものです。
2007.02.17 22:08

無題 - rudolf2006

吉田さま こんばんは

ベーム・リザネクさんの「エレクトラ」LDで買っていました。本当に凄い演奏ですよね、リザネクさんは、ライブで一回だけ聴きました、凄い声でした、私は、大好きなソプラノの一人です。
DVDはまだ買っていないんですよ~。
そうそう、クライムネストラ役の、カタリーナ・リゲンツァさんも素晴らしいのではないですか?
早く引退されたのが、本当に残念です~
ミ(`w´彡)
2007.02.17 Sat 21:57 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

私もLDです。しかもごく最近に中古で入手しました。いまさらLDを買うヒトもなかなかいないかと思います。
リザネク、ドラマティック・ソプラノというのでしょうか、ドスのきいた歌いまわしに感激しました。安定感がありますね。
本文では特に紹介しませんでしたが、リゲンツァの歌も見事、リザネクとは違った、繊細で透明感のある声で、これも聴き応えのあるものでした。この人は、ブリュンヒルデとして日本にも来たことがあるそうですね。もう引退されたのですか、まだ比較的若いのに残念です。
2007.02.17 22:14

無題 - yokochan

推理小説に過去読んだものでも、忘れてしまい、
途中で思い出してしまうのが最悪です(笑)

ご紹介のベーム最晩年のエレクトラは未聴です。
素晴らしいキャストですね!
演出もG・フリードリヒだし、これは是非観なくてはなりません。
2007.02.18 Sun 01:45 URL [ Edit ]

Re:yokochanさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

過去に読んだ推理小説を読んでしまうこと、たまにあります。あれは虚しい。途中まで気がつかないところがなんともいえません。

ベーム最晩年のエレクトラ、ベームは若々しいというか気合充分のオケを聴かせてくれて満足しました。
歌手も迫力のある歌を聴かせます。舞台はとても簡素で、音楽に集中させてくれます。
ただ、役柄のせいか、女性陣の化粧がみんな怖いのです(笑)。
2007.02.18 07:00
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