クラシック音楽を聴き始めた頃は、ロストロポーヴィチのまさに全盛期だったので、彼を抜いて語るわけにもいかない。
世評の高さは聞いていたものの、真正面から向き合って聴いたのは、ジュリーニと共演したドヴォルザークの協奏曲である。このいきさつについては以前に書いたので省くが、終楽章でヴァイオリン・ソロと重なって演奏するあたりには感涙したものである。彼のディスクは、もう数えきれないほどあって、もちろん全部を聴くわけにはいかないけれども、このドヴォルザークがあれば十分という気がする。
フルニエも好き。といっても、やはり多くを聴いているわけではない。ドヴォルザーク、ベートーヴェン、ブルッフ、それとバッハ。バッハの無伴奏は、正規に2度録音しているかと思うが、最初のものをもっていてよく聴いている。適度に粘りがあって、品が良くて、音のきれいなバッハである。バッハの無伴奏を選べと言われたら、これをとるだろう。
少し地味であるが、ジャンドロンはいい。アンセルメとやったシューマンのコンチェルトは圧巻と言える。作曲者の狂気をうまい具合に満遍なく滲ませながら、流れよく音楽を形づくる手腕は、並みではない。この人の演奏をもっと聴いてみたい。
マは、ロストロポーヴィチの後継者の位置づけになる人と思われる。技術は凄いし、センスもいい。ただ、アクがなさすぎる。凄みに欠けるのだ。ジャズやポップスなどをならないでクラシックに没頭するべき人物だと思う。
マイスキーも同様に感じる。曲に対する繊細なアプローチはこの人ならではのものと思うものの、どこか食い足りないところがある。例えば、バーンスタインとやったシューマンのコンチェルトなんかは、もっと暴れていい。
シュタルケルは巨匠だ。オーディオ・ファンにとっては垂涎の、コダーイのソナタから、晩年にブッフビンダーとやったブラームスのふたつのソナタまで、こんなに切っ先の鋭いチェロを弾いた人は他に知らない。こういう人がもっと多くいたら、チェロの業界? はもっと活発になったのじゃないかと夢想する。
デュ・プレは、あんまりとらない。感情の表れが激しすぎる。それは、ヴァイオリンにおいてのヌヴーや、ピアノのアルゲリッチを思わせる。最初聴いたときはなにやら新鮮なのだけれど、何回か聴き続けると、けっこう体力を消耗する。ただ、ディーリアスはいいと感じた。
若手であると、フォーグラーがいい。ショスタコーヴィチの協奏曲では、ウィットと壮重感とをうまく同居させていたし、モーツァルトの三重奏では、チームとしてヴァイオリンとヴィオラをまとめて、幽玄な雰囲気を出すことに成功した。
カザルスはとらない。歴史的人物として評価されているので、それでよしとしていいんじゃないか。ヴァイオリンにおけるティボーよりも、個性に乏しいと感じる。
ピアティゴルスキーは、よくわからない。そんなにいいとは思えないけど。。
むしろ、フーフロが好きだ。室内楽での活躍が多いが、どれも堅実にして清廉。こういう地味な奏者が、音楽界を支えている気がする。
トルトゥリエは、ショパンとラフマニノフを聴いたが、いまひとつだった。曲が悪いのか、私のコンディションが悪いのか。
ハレルは一時期、パールマンやシュケナージと共演していて一世を風靡したが、マと似たようなキャラクターだと思う。もっと酒をくらって、ハメをはずそう!
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