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2006.10.15
ウイーン・フィル名盤 極私的ベスト10+1
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ウイーン・フィル名盤 極私的ベスト10+1
2006.10.15
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聴き比べ
ウイーン・フィルのCDは星の数ほどあるが、その中からベスト10を選んでみる遊び。剛球ストレートではなく、やや変化球を織り交ぜた選曲になった、ような気がする。
・シューマン 交響曲第2番 シノーポリ
・ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 コンドラシン
・シューベルト 交響曲第8番「未完成」 ケルテス
・ベートーヴェン 交響曲第7番 C・クライバー
・J・シュトラウス ワルツ・ポルカ集 クラウス
・モーツァルト 「フィガロの結婚」 E・クライバー
・マーラー 交響曲第3番 マゼール
・ブルックナー 交響曲第4番 クナッパーツブッシュ
・ワーグナー 「神々の黄昏」 ショルティ
・ブラームス 交響曲第1番 ベーム
・マーラー 交響曲第9番 ワルター
気がつけば、フルトヴェングラーもカラヤンもジュリーニもいない…。他にもメータの「復活」なんかを入れたかったが、キリがなくなってしまうナ。
■シューマン 交響曲第2番 シノーポリ
これは、シノーポリの切れ味鋭いツッコミが絶妙な演奏で、オケも甘美な匂いを撒き散らしながらぴったりとついていっている。全ての楽章が病的に美しく、同曲のトップにあげたい。
この演奏があまりにも素晴らしかったので、後にドレスデンを指揮したシューマンの全集を、過剰な期待をして聴いてみたが、こちらは、まあ、全く別の演奏であった。
■ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 コンドラシン
このオケの「新世界より」にはケルテスのおいしいCDもあるが、コンドラシンの一見落ち着きがあるように見せかけて、実は激しいパトスがある演奏もいい。
オケの個々の楽器の技量が堪能できる。フルートもイングリッシュ・ホルンも、蕩けるような味わいがあり、第2楽章では思わず家に帰りたくなることは言うまでもない。
メリハリのあるところは充分に押し出しがきいていて、痒いところに手が届く演奏だ。
■シューベルト 交響曲第8番「未完成」 ケルテス
シューベルトの暗い情念が色濃くあらわれた演奏で、若さゆえの暴走、みたいな解釈である。
ケルテスは時折、いきり立っているような指揮ぶりを見せるが、オケも柔らかく激しいしなりを自在にみせていて、丁々発止の様子をうかがい知ることができる。
■ベートーヴェン 交響曲第7番 C・クライバー
スタジオ録音ならではの落ち着きある演奏。同じ指揮者の振ったバイエルンとのライヴでのような天衣無縫の荒業をみせつけることはないが、通常の倍の人数を配置した金管楽器の柔らかくもパワーある熱気がいい。ウイーン・フィル以外のオケがこのような演奏をしたら、荒っぽくてうるさくなってしまうだろう。
■シュトラウス ワルツ・ポルカ集 クラウス
いかにも「古きよき時代」を思わせる甘くこってりもったりした演奏で、J・シュトラウスのワルツというジャンルでは、C・クライバーの対極にあると思われる。ミディアム・ボディの赤でもやりながら異国に思いを馳せたい。
■モーツァルト 「フィガロの結婚」 E・クライバー
ここで耳にする響きは、木目調の音にほかならないが、それは家具のような加工品というよりも、森にひっそり佇む切りかぶのように、しっとりと濡れた新鮮な肌触りである。オケの生き生きとした音楽が良すぎて、レチタティーヴォのチェンバロの冴えない音質を補って余りある。
■マーラー 交響曲第3番 マゼール
最終楽章の粘りある演奏がすごい。マゼールはこれでもかというほどテンポを思い切りゆっくりととって素晴らしい、というか凄まじい音響世界を繰り広げようとしていて、ウイーン・フィルの弦は待ってましたとばかりに楽々とついてゆく。コクがありすぎて眩暈がしそうである。
■ブルックナー 交響曲第4番 クナッパーツブッシュ
いつもどおり改訂版を用いた演奏なので、部分的にはいくつかの違和感がある音楽だが、冒頭を始めとするホルンの響きがいい。演奏の端々がなんとなくユルイのはこの指揮者のしわざだと想像するが、このゆるさがウイーン・フィルの温度になんとなく合っていて、いい響きを醸し出している。
■
ワーグナー 「神々の黄昏」 ショルティ
ウイーン・フィルのメンバーの間ではショルティの評判は散々らしく、確かに定期公演にはあまり登場せず、関わりといえば、もっぱら契約のあるレコーディングが中心であった。
ウイーン・フィルとの来日公演もあまりインパクトはなかったが、この盤ではショルティの剛直さがオケからまったりとした野性味を引き出していて素晴らしい。
歌手は今では夢のメンバーだが、この一連の楽劇の良さは、ショルティが引き出しえたウイーン・フィルの音だろう。
■ブラームス 交響曲第1番 ベーム
1975年のNHKホールのライヴである。何年か前に映像の再放送をやっており、録画をした。
今では神棚に飾ってある、というのは嘘であるが、これは大事なコレクションのひとつだ。
ウイーン・フィルがどうこういうよりも、「歴史的演奏」にテレビを通じてではあるけれども、その一端に触れられたことが感無量。
■マーラー 交響曲第9番 ワルター
戦前の録音から1枚。
この盤を最初の1,2回聴いたところではあまりピンととなかった。ずっとCD棚の奥にほっぽらかしていたが、コーホー氏などが絶賛してやまないので、あるときにボリュームを大きくして鳴らせたら、両端楽章がとても良かった。このCDには、ユダヤ人のワルターが戦争の声が聞こえるウイーンでこの音楽を振ったというエピソードがつきものであるが、聴いているときにはそういうことを片時忘れてしまう。
■勝手にウイーン・フィルの日
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