ふたつの弦楽四重奏団による、ベートーヴェン後期のコンサートに足を運びました(2022年3月20日、トッパン・ホールにて)。
弦楽四重奏曲15番:レグルス・クァルテット
大フーガ:タレイア・クァルテット
この2曲に実演で触れるのは数年前以来。そのときの古典四重奏団とクァルテット・エクセルシオは今も強く印象に残っていますが、この夜もすごかった!
15番は大好きな曲で、ベートーヴェンの作品からひとつと問われたら、迷いに迷いながらこれを選ぶかも。
レグルスは力強くもバランスのいい演奏を展開。第1ヴァイオリンは繊細でありながら音量も堂々としていて存在感たっぷりだけども、ヴィオラとチェロも負けていない。野球のピッチャーで例えるなら、ほぼストレート1本で最後まで押し切った投球。後味の良さが胸に残ります。
奇数楽章で落涙したのは、少々酩酊状態だったからか。
大フーガは全曲がのっぴきならない音楽なわけですが、この演奏もそう。タレイアが女性4人で構成されていることを直前に知り、「これはますます大変なことになるのでは」、と思わずにいられませんでした。フェミニストに怒られるかな?
その予想は当たり。テンポは中庸であるし音色はコクがあって美しいながら、色とりどりの火花が散るのが見えるような演奏。ベートーヴェンは大フーガを書くにあたり、こんな演奏をイメージしていたのではないか、などと晩酌をしながら夢想。
演奏時間は記録しなかったけど、通常15,6分を要するこの曲が、5分くらいに感じられました。
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