カルミニョーラ(Vn) マルコン指揮ヴェニス・バロック管/ヴィヴァルディ 後期ヴァイオリン協奏曲集ヴィヴァルディという作曲家については、「四季」を始めとするごく一部の作品を除いて全貌は明らかになっていないようだ。なんでも、千数百曲(?)にわたる曲のほとんどがまだ研究されていないという。
「ヴィヴァルディは555曲の協奏曲を書いたのではなく、同じ協奏曲を555回書き換えたのだ」との有名な悪口もあるが、確かにもし「ヴィヴァルディ全集」なるCDがあってそれをプレゼントされたとしたら、かなり激しくもてあましてしまうだろう。
このカルミニョーラのCDは「後期」とあるが、ヴィヴァルディに「後期」なる概念があったことも私には初耳であった。
彼の時代は創作した楽譜を出版社に売却することによって生計を立てていたらしいが、後期、つまり彼が50歳を過ぎたあたりからその仕組みから脱却していったようだ。
それは楽譜を出版社ではなく、個人的に取引できるパトロンに対してのみ売リ始めたということ。
当時としては破格の値段で売れたらしい。こういったこともあって、彼の作品の全貌がなかなか掴みつらいことになったようだ。
カルミニョーラのヴァイオリンは、軽やかで繊細であって、しかも凄い技巧をあますところなく発揮している。まるでパガニーニを聴いている錯覚におちいるくらいなもので、BGMとして聴くにはもったいないくらい(私はヴィヴァルディを大概BGMとして聴いてしまう)、変化に富んでいる。このCDでは1730年代以降の6曲の協奏曲が収められているが、通奏低音をチェンバロだけではなく、リュートやオルガンと、曲ごとに変えているのが特徴。これも面白い試みだと思う。無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
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