ラヴェル 管弦楽曲集 アバド指揮ロンドン交響楽団ここ数日の関東の天気は、晴れたり雨だったり、ときにはヒョウが降ったりと忙しい。おとといの晩なんかは駅を降りたら大雨で、しかも雷がすごかった。何発か打ち鳴ったうちのひとつは、落ちた瞬間に、マンションと居酒屋雑居ビルの電気が一瞬にして消えるほどの威力があった。駅玄関で雨宿りをしている人たちも後ずさるほどであり、私は腰が抜けそうになった。
それにしても、雷の音というのはいい。怖いけど、いい音だ。腹にずっしりと響いてくる。大太鼓とティンパニと銅鑼を思い切り叩いたよりも迫力がある重低音を、生で、しかもただで楽しむことができる。
ただ、実際に落ちてくるのが玉に瑕だ。一昨日は実際に被害にあった人がいる。雷は、落ちるのはいいけれども、おとなしく避雷針に落ちてほしい。車とかヒトは避けて欲しい。それさえ守ってくれれば、あの重低音、ときどきは聞いてみたいものだ。
勝手にラヴェルの日
アバドのラヴェルはしなやかで爽やか。色でいえば薄い暖色系で、サラッした味わいがある。このボレロもそう。タイムは14'20"で、比較的速いといえる。アバドの時代にいい仕事をしたロンドン交響楽団はここでも絶好調で、特にそれぞれの木管楽器のうまさには、安心して身をゆだねることができる。ハッキリと刻まれた小太鼓の繊細な音もいい。
でもこの演奏、実に不思議なところがある。ラストの数小節で、大勢の叫び声が聴こえるのだ。といってもオカルトではなく、楽団員が興奮のあまりに声を出してしまったものだそうだ。しかしアバドの強い要望により、この録音が採用されることになったという。これは、CDが発売された当初に大きな話題になった。
でも、そんなことがあるのだろうか。ロンドン交響楽団は素人集団ではなく、歴史も長く録音も数え切れないほど経験のある百戦錬磨のオケである。だから、それが特にスタジオ録音でそういうことが起こりえるというのは、ちょっと考えにくいのである。
私が思うに、この話の結論としては、アバドが自分の解釈で、最後の盛り上がりのところで叫ぶように指示した、ということのほうがしっくりくる。そのほうが人間くさいし、微笑ましいではないか。PR
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
一昨日は、雨がきついというより、雷が怖くてなかなか駅から出られませんでした。音はとてもいいのですが、あれが落ちてくるのを想像するととても恐ろしい。
アバド盤、最後だけは不思議な演奏でした。もしかしたら楽団員の茶目っ気だったのかという気もします。全体的にはスッキリとしたよい演奏です。
「薔薇の騎士」でそういう場面があるのですか。ほのぼのしますね。この曲も全部聴き通したことがないかも知れません。確かカラヤンのビデオがあるはずなのですが…。
2007.06.02 13:22
無題 - bitoku
Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
この演奏を聴く前に、この雄叫びの話を読んでいたのですが、実際に聴いたときはやはり少し驚きました。いったい、何事が起こったのだろうと。盛り上がる演奏ではあるけれど、全体のバランスが良いので、最後だけが突出した演奏でもない感じがしましたので。
なのでちょっと穿った見方ですが、そういう指示を与えたのかなあと、想像してみました。
クラシック界の本流といえるアバドの演奏であるだけに、あの宣伝はとても魅力的ではありました。
2007.06.02 20:49
無題 - Niklaus Vogel
Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
晴れたり雨だったり気温の変化が大きいので、風邪には気をつけています。一度かかると直りにくいのですよ、若くないですから(笑)。
シャイー盤もそうでしたか。知りませんでした。コンセルトヘボウがやるとは…。もしかしたら自発的な叫びだったのですかね。ああいうことを二番煎じでやるとは考えにくいです。
しかし、余程のことがあってもないですよね、ソリストが演奏中に叫ぶなんていうことは。うーん、謎です。
2007.06.02 21:05
無題 - ダンベルドア
Re:ダンベルドアさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
発売当時はこの叫び声が話題になりましたが、今はあまり取り上げることもないようです。
コーダに至るまでは、わりに淡々としていてスッキリした演奏なので、叫び声がわりと唐突に感じました。全員が声を発しているというわけではなさそうですが。
面白い演奏なので聴かれてみてはいかがでしょう。
2007.06.03 09:22
無題 - garjyu
Re:garjyuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
『勝手にラヴェルの日』ということで、なにか凝ったものでもと考えましたが、この作曲家についてもそれほどCDを持ち合わせているわけでなく、いつも通り定番の曲になりました。この作曲家はいろいろなジャンルに作品を残しているので、もっと聴いてみたいものです。
「ボレロ」はもしかしたらアバドの茶目っ気かもしれません。だとすれば、けっこう大胆なことをやるヒトですね。
2007.06.03 09:28
無題 - ピースうさぎ
Re:ピースうさぎさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
連続コメント、感謝いたします。
アバドのボレロは、叫び声はともかく、いい演奏だと思います。引き締まった味があります。
私も、この指揮者はロンドン饗かウイーンのものを気に入っています。ベルリンフィルは低音がきついので、指揮者と演目を選ぶのじゃないかと勝手に思っています。
2007.06.03 21:56
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