バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル、クリスタ・ルートヴィヒのメゾソプラノ、他の演奏で、マーラーの交響曲3番を聴きました(1987年11月、ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャー・ホールでの録音)。
これは、バーンスタインによる、この曲の3度目の録音(2回目はウイーン・フィルとの映像)。
最初のもニューヨーク・フィルとでした。これもじつにいい演奏で、隅々にまで目が行き届いたばかりではなく、若きマーラーの霊感のようなものが、生きる希望のようなものと、溶け合った演奏です。
この新しいものは、テンポはいくぶん遅くなっていて、じっくりと粘っこく歌っています。歌というよりは、ひょっとしたら慟哭かもしれない。そこは断言できない。
ニューヨーク・フィルは1970年代以降くらい、評論家たちから実力の低下を指摘されていました。でも、この演奏を聴くと、どうしてどうして、1級品です。弦楽器の艶やかな響きに加え、木管楽器の溌剌たる鳴りっぷりに快哉をあげずにいられません。
長い1楽章は、まずホルンですが、滑舌がいい。冒頭のおおらかなところも見事ですが、リズムを刻むところあたりの按配が、的確でありつつ、味があって聴かせます。歌うところは洒落たヴィブラートがかかっています。トランペットも。ソロ・ヴァイオリンはどなたかわかりませんが、容姿端麗。これもたまらなく素晴らしい。
ルートヴィヒは、出だしはいつもより少し明るめの声に聴こえます。でも音楽が進んでいくと、懐の深さがじわじわと滲んでくる。
この歌詞は「ツァラトゥストラ」からとられています。この哲学書、というか抒情詩は、正直いって誰にも精確には理解できないと思うんだけど、音楽にするとそのへんは関係ありませんね。
とくに好きなのは、6楽章。もともと、おおいに癒される音楽ではあるのですが、バーンスタインの意外に飾り気のない、おおらかな指揮ぶりに唸ります。ゆったりとしたストリングスが、問答無用に美しい。
少し疲れているせいか、この音楽がとても沁みました。
ブルックリン少年合唱団
ニューヨーク・コラール・アーティスツ
パースのビッグムーン。
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