マーシャル・ゴールドスミス(斎藤聖美訳)の「コーチングの神様が教える「できる人」の法則」を読む。
これは、前の職場の上司に薦められた本。長いことほったらかしにしていたが、ここのところ本を読む時間がまとめてとれているので手に取った。
著者はジャック・ウェルチ元GE会長を始め、主にエグゼクティヴを相手にコーチングをしているので、この本の内容は私にはあまり関係ないのではないかと思った。読んでみると、仕事のみならず、家庭、友人などあらゆる人間関係において応用できるものとなっている。
謝罪すること、感謝をあらわすこと、悪い癖を直すこと(極度の負けず嫌い、「いや」「しかし」「でも」で文章を始める)など、基本的なことがらの重要さを多彩な実例をあげながら丁寧に解説する。
なかでも重要なのは「聞くこと」。聞くといっても、ただ受身になるのではなく、積極的に相手を理解し共感しようとする試みが大切だとしている。それができてはじめて相手とのキチンとしたコミュニケーションが生まれる。
コヴィーの「7つの習慣」でもこれを最重要のテーマのひとつとしているが、簡単そうにみえて実はこれがもっとも難しい。
ジュリーニ指揮シカゴ交響楽団の演奏で、マーラーの交響曲1番「巨人」を聴く。
LPで所有していた演奏をCDで買い換えると、たいていの場合LPは処分する。このLPをまだ大事にしているのは、ジャケットがいいから。黒をバックにしたジュリーニの横顔の大写しで、なんともカッコいい。
このジュリーニだけではなく、LPでジャケットのセンスがいいものは、聴かなくてもなかなか手放せない。
演奏は、ゆったりとしていて恰幅がいい。シカゴ交響楽団はショルティが音楽監督に就任して間もない頃。エッジの効いた金管楽器群はもちろん、弦楽器が思った以上にふくよか。ことに終楽章の中間部においてのまろやかな厚みは素晴らしい。EMIのまろやかな録音が効いている。
この3楽章がベートーヴェンの第9の終楽章のパロディであることを喝破したのは吉田秀和だが、それはこの演奏を聴いてのこと。芯をなすティンパニは重厚、コントラバスの響きは残響が多いせいもあり幽玄。
終楽章のラストは伸びやかに、熱く締めくくられる。
1971年3月、シカゴ、メディナ・テンプルでの録音。
虹。
重版できました。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR