ミトロプーロス指揮ウイーン・フィル他の演奏で、マーラーの交響曲8番「一千人の交響曲」を聴く(1960年8月28日、ザルツブルク祝祭大劇場でのライヴ録音)。
これはスケールの大きな演奏。
第1部は、全体的にテンポが遅い。いままで聴いたなかでは、テンシュテットと並んで遅いかも。ミトロプーロスは、明晰でかつ骨太の音楽を目指していた、のだろう。
第2部は基本的に中くらいの速度。ところどころにテンポの大きな変化をつけている。
「法悦の教父」を演じるプライが若々しい。伸びのある声に魅せられる。「瞑想する教父」も安定している。「マリア崇敬の博士」は、イタリア・オペラのアリアみたいな歌い方。出だしが速い。女声の4名はみんないい。つややかであり、可愛らしくもあり、ときには恰幅よく、ときには凛々しい。音楽はだんだんと厚みを増していき、「栄光の聖母」と「マリア崇敬の博士」との歌で、ひとつの頂点に達する。
オーケストラの技術に問題がないとはいえない。ウイーン・フィルがマーラーについていけてないところが散見される。縦の線はところどころ綻んでいるし、トランペットは落ちていたりする。でもラストは、彼らのこの演奏にかける気迫というか意気込みがひしひしと感じられ、ミスを補って余りある熱気をつくりだしている。ライヴならではの燃えるような臨場感があり、圧倒されないわけにいかない。体に電流が走った。
録音は、モノラルのライヴにしては鮮明。
ミミ・ケルツェ(S)
ヒルデ・ツァデク(S)
ルクレチア・ヴェスト(A)
イラ・マラニウク(A)
ジュゼッペ・ザンピエッリ(T)
ヘルマン・プライ(Br)
オットー・エーデルマン(Bs)
ウィーン少年合唱団
楽友協会合唱団
ウィーン国立歌劇場合唱団
パースのビッグムーン。
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