タカーチ弦楽四重奏団の演奏で、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲12番を聴きました(2003年11月、セント・ジョージ・ブリストルでの録音)。
ベートーヴェンの後期の四重奏曲で、なぜか12番は一番あとに親しむようになりました。最初に手にした演奏がよくなかったのでしょう。でも去年に聴いたズスケ四重奏団の演奏あたりから、これも大好きな曲になりました。
タカーチの演奏は、キリッとしていて精悍。
1楽章で4つの楽器が溶け合うところは、透明感があって、ガッチリとまっすぐ。音程も完璧に合っているように感じます。
2楽章の変奏曲は精緻でありつつ、スプーンひと匙のユーモアを湛えていて、なんとも楽しい。ラスト近くで上昇するヴァイオリン・ソロは、冬空に輝く星のよう。
スケルツァンドは急・超急・急の楽章、アンサンブルは緊密で隙なし。
4楽章も速い楽章ですが、こちらはヒロイック。美しい弦の音は、最後までしっかりと保たれている。
じつに生き生きとした、素晴らしい演奏だと思います。
ちなみにこの後期ボックス、11番「セリオーソ」が含まれています。珍しい。
この四重奏団は、1975年にリスト音楽院の学生によって結成され、いまはアメリカを拠点に活動している現役。聴いてみたいものです。
エドワード・ドゥシンベル(ヴァイオリン)
カーロイ・シュランツ(ヴァイオリン)
ロジャー・タッピング(ヴィオラ)
アンドラーシュ・フェイェール(チェロ)
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