ゼルキン(P) 小澤指揮ボストン交響楽団 1981.10.6昨日、「のだめカンタービレ」を見た。クラシック音楽をテーマ、というか背景にしているということで興味はあって、原作の存在はだいぶ前から知っていたが、読んだことはなかった。主人公の子供時代の先生がズテニェク・マカールに似ていると思ったが、本人だったのにはズッコケた。
なにをやっているのだろう、このヒトは!?
主人公の玉木宏と上野樹里のお互いに住む家が、マンションの隣同士なのはまあいいとして、部屋にグランド・ピアノがあるのは不自然だ。よほどの金持ちでない限り、ひとり暮らしの部屋にグランド・ピアノはないのじゃないかな?
これがちょっと気に食わない。
今後の展開によって、ついていけるかどうかわからないけれど、ときおり飛び出すギャグは割りに好きだ。
さて、ゼルキンのベートーヴェン。
冒頭のカデンツァはゆっくりとしていて、なおかつ軽快なピアノ。ゼルキンの晩年の名人芸だ。この曲のこうしたやりかたは、あまりないのではないだろうか。じんわりとした味のあるピアノである。
すぐにオケが入ってきて、テンポは中庸になってくる。このテンポは、最後まで貫かれる。
ゼルキンのピアノは風格を感じさせるものだが、軽やかさも感じる。山奥の水のような清らかさだ。これが明鏡止水というやつであろうか。私にはとんとわからない世界であるが、とても楽々と弾いているようで、解釈に一切の迷いがないかのように聴こえる。1つ1つのフレーズに「これしかない!」という強い意志を感じる。しかも、響きがビックリするほど透明である。
小澤のサポートは、朴訥でいい。
ピアノにぴったりあわせることに余念はない。昔ながらの手作りの豆腐のようなボストンの響きが、渋すぎる。色っぽい艶ななく、ただただピアノに合わせることだけに命をかけているような演奏で、いぶし銀の仕事と言える。ミュンシュ時代にラヴェルの華やかな彩りをみせたオケとは思えないくらいだ。
が、音楽の流れは最後まで途切れることなく大変な臨場感があり、フィナーレでは思いがけない盛り上がりをみせ、ドキドキさせてくれる。
テラークの録音は実音に近い録り方。コンサート・ホールで鳴るような響きを聴かせてくれる。
デンオンのややクセのあるワンポイント録音とは違う、生き生きとした音を生み出すのに成功しているように思う。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録できます。
PR