ベートーヴェン「英雄」 コレギウム・アウレウム合奏団なつかしい1枚を。
このLPが発売されたのは、確か1977年。何故覚えているかというと、初めて買ったレコ芸が1978年2月のリーダーズ・チョイスだったからだ。
リーダーズ・チョイスとは、前年に発売されたレコードを読者が投票してランキングを決めるという、いわば総集編といった類のものなのだが、この時代のそれは錚々たるものであった。
思い出せるものだけでも、ジュリーニのマーラー第9、クライバーのベートーヴェン第7、アバドの「復活」、なんていうところがランキングの上位を占めていた。カラヤンやベーム、グールド、ゼルキン、バーンスタインといった人たちが存命で、毎月のようにバシバシと新録音を出していたのだから、今思えば贅沢な時代であった。
そのなかでも、この年にわりと派手な存在だったのがコレギウム・アウレウム合奏団の「英雄」だった。ランキングでも上位にくいこんでいたはず。
本格的な古楽器を用いた演奏ということで、後年のクライバーの新作なみのインパクトがあり、騒がれたものだ。
当時中学生だった私も、なけなしの小遣いをはたいてこれを買ったのは言うまでもない。
印象はというと、
・響きがくすんでいる
・提示部をきっちり反復している
・小編成だ
というもの。
それは今もあまり変わりない。のちに出現したブリュッヘンやガーディナーのように峻烈なものはなく、どちらかといえば鄙びた演奏なのである。
この演奏を古楽器演奏の過渡期だとする評をよく聞くが、ベートーヴェンの時代の演奏って、いつもブリュッヘンみたいに激しかったのだろうか、という疑問はあって、コレ・アレのような演奏が実は当時主流だった、ということもありうるのじゃなかろうか、とも思うのだ。
この演奏の適度なヌルさが、ときに心地よい。PR
無題 - bitoku
Re:bitokuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
年季…歳だけは確実にとっていきます(笑)。どちからといえばヒマであった学生時代のほうがよく聴いていたかもしれません。
コレギウム・アウレウムは、一時期、ハルモニア・ムンディから多くの録音を出していました。演奏と共にジャケットも渋くてそそりましたが、結局「英雄」しか聴いていません。
ブリュッヘンの刺激的な解釈も楽しいです。これを超特急だとするならば、この盤は鈍行列車ですね。
コレ・アレは第7は録音していましたが、「運命」はどうでしょうねえ? 私はちょっと見たことがありません。あれば聴いてみたいですね!
2007.06.09 09:27
無題 - Niklaus Vogel
Re:Niklaus Vogelさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
第3番はフルヴェンにしようかと思いましたが、あまりにもまっとうなので、演奏者くらいは少々地味なところを選んでみました。
コレ・アレも、今ではとても中途半端に位置づけされるソリストになってしまいましたが、あれはあれでいいものだと思います。
「風と雲と虹と」…平将門ですね! 観てました。月曜日に話題になるくらい学校ではやりました(笑)。
2007.06.09 09:38
無題 - しじみ
Re:しじみさん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司
コメントをありがとうございます
ヌルい「英雄」もいいものです。あまり英雄的ではなく、音楽がたゆたっているような感じです。
ベートーヴェンの交響曲、おっしゃるとおり聴ききれないくらいの録音が出ています。そのなかで何をチョイスしていくかは楽しいものですが、反面悩みどころであります。
カラヤン、クライバーもいいですし、ブリュッヘンやセルも落とせません。フルヴェンもいますね。まだまだ聴いていない演奏が多いです。
1977年はちょうど彼女たちが出たての頃でしたっけ。私は「ペッパー警部」が好きでした。のちのミニスカポリスなんてのもわりと(笑)。
2007.06.09 09:47
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
「ピリオド奏法」って言葉はなかったような気がしますね。楽器そのものの違いよりも、小編成で「英雄」をやるということが奇異に感じる時代でありました。
緩いベートーヴェンもときにはありかなと思います。プレヴィンとか緩めですね。イタリア系ですと、トスカニーニとかジュリーニの第5なんかは厳しいですね。アバドやムーティはわりにゆったりしている印象があります。
2007.06.09 21:33
無題 - 丘
Re:丘さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
LP盤を持ってらっしゃいますか。反復をしているせいで、前半が特に長い演奏ですよね。
私も「英雄」はベートーヴェンの交響曲の中で好きな曲なので、いろいろ聴きました。このLPは当時大きな話題になったので、迷わず購入しました。演奏そのものは、今となってはさほどインパクトないですが、独特の味があって、たまに聴きたくなります。
2007.06.09 21:37
この記事へのトラックバック
TrackBackURL
→