ベートーヴェン 後期三大ソナタ/リチャード・グード大相撲は意外な結果に終わった。
朝青龍と白鵬が共に13勝2敗となり、優勝決定戦にもつれ込んだのだが、結果は白鵬が一瞬で朝青龍をはたきこんでの勝利。驚いた、勝敗よりも戦術に。
この劇的な勝負の伏線となったのは、本割での朝青龍対千代大海の相撲だった。ここで朝青龍は全力で突っ込んでくるであろう千代大海に対して、立会いで変化を見せて、はたきこみで勝ったわけだが、それを観ていた白鵬の気持ちはどういうものだったろう。
優勝インタビューで、決定戦での変化について聞かれときは「とっさです」と答えていたが、本当のところはどうだったか。いずれにしても優勝への執念がああいった戦術を使わせたのであろう。
一部には優勝決定戦らしくないという意見もあったが、あれはあれですごく緊迫したいい勝負であったことは間違いないと思う。とても印象的な千秋楽だった。
さて、グードのベートーヴェン。
ベートーヴェンがこのソナタを完成したのは、1821年の12月25日。彼は、このソナタを誰にも献呈しなかった。ウィルヘルム・ケンプは、「このソナタで私たちは、もっとも個人的な告白に出会う。だからベートーヴェンがこの曲を誰にも献呈せずに手許に置きたく思っていたのは何ら不思議ではない」と言っている。
ベートーヴェンの心境を今ではわかる術はないが、あのケンプがそう言うなら、そうなのだろうと納得してしまおう。
曲は3楽章からなるが、第2楽章が短いのに対して終楽章が2部に分かれていることからみて4楽章制にも聴こえる。でもはっきりとした区切りは見当たらないので、これらを通してひとつの曲といってもよいような気もする。
まあ、そういったことを私がとやかく言っても仕方がないが。
グードのピアノは、重心を低くして、テンポを落とし、ひとつひとつの音を丁寧に紡ぎ上げたもの。その反面に流れのよさとかスピード感といったものはないけれども、堅実な弾きぶりを感じないわけにはいかない。
どちらかというと不器用な感じの演奏であって、ベートーヴェンだと何故かうまいぐあいに腑に落ちる。
彼がマズルカなんかを弾いたら、どういうことになるのだろう。個性的だけど野暮ったいショパンになりそうだ。それは聴いてみないとわからないけど。PR
無題 - Niklaus Vogel
Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
相撲は、ここのところ朝青龍の独壇場でしたが、最近は白鵬が伸びてきているので、これから面白いかも知れません。
それは、ま、いいんですが。
グードのベートーヴェンは、私にはとっつきにくかったです。シャレッ気は皆無で、淡々と実直に弾いています。何度聴いても飽きがこない演奏ではあります。
2007.03.25 23:17
無題 - bitoku
Re:bitokuさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
グードはホフショフスキーの弟子でしたね。ライナーノーツに記してあるのを見て知りました。
後期の3曲が収まっているCDは数多いので、全部聴いているわけではありませんが、このグードの演奏は渋い部類に属すると思いました。リヒテルのようにスケールが大きいというわけでもなく、ケンプ(新旧)のように鄙びた味わいで勝負するわけでもなく、無理やり言えば、指揮者のヴァントのように理詰めで演奏するようなタイプなのかもわかりません。なんとなく感じるだけですが。ピアニストで同じようなタイプを探すのはなかなか難しいような気がします。
90年代のポミエですかー、聴いたことがありません。bitokuさんがお薦めするなら聴いてみたいですね。
後期の三大ソナタは過去に巨匠クラスがこぞって録音しているから、今のピアニストはやりづらいでしょうね。その中で新しさを出してゆくのは本当に大変な作業だと、私のような素人でも察することができます。
2007.03.26 22:29
無題 - bitoku
Re:bitokuさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
TBありがとうございます。
さっそく、拝見させていただきますネ。
2007.03.27 23:39
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