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ベルリオーズ 「イタリアのハロルド」、「ベンヴェヌート・チェッリーニ」、「ローマの謝肉祭」、「海賊」 チョン・ミュン・フン指揮パリ・バスティーユ・オペラ管ヘミングウェーの「老人の海」を読んだ。
100ページあまりの中篇小説だが、ここには女性はひとりも出てこない。男の世界を描いた物語といってもいいかもしれないが、老人の世話を焼く少年の存在がみずみずしく、男臭い感じはあまりない。
この小説で印象的だったのは、老人が船の上で食事をするシーン。
鮪とかシイラを食物用に釣り上げて、腹の減ったときに生で食うのだが、彼はしょうゆはおろか調味料を一切もちこんでいない。それで食事のたびに言うのだ。
「塩かライムを持ってくればよかった」。
このセリフが何度も出てくる。これが、とてもホノボノとしていていい。
なるほど、鮪に塩とライムか、船の上で食ったらうまいだろうな。
老人はこの小説の後半で、鮫と対決しつつ、時折この鮪を(ここでは、しかたないので海水を調味料に)食らうのだが、船の上で食うマグロ、うまいだろうなあと夢想しつつ、その食うシーンばかり熱中して読んでいた。
「勝手に歌劇場オーケストラの日」
パリ・バスティーユ・オペラ管の演奏で。
チョン・ミュン・フンは現在の音楽界において、歯切れの良い音楽を作ることにかけては第一人者であるが、このバスティーユを振ってこそそれが最も発揮されたのではないかな。
もっとも、事情あって彼は任期の途中で辞退してしまったけれど。オペラ・ハウスはいろいろ政治的問題も絡んでいるために、音楽の素養がずば抜けていたとしてもそこで務めるのは大変なようだ。
この音楽をビールで言えば、ラガーではなく、スーパードライであろう。コクは少ないけれども切れがある。
キレがあればいいじゃないか、と思う。そりゃ、コクもあったほうがいいけれど、キレがあるだけでも凄いことなのじゃないか。
この「海賊」はベルリオーズの作った演奏会用序曲であるが、彼の管弦楽曲の中でも、ノリの良さでは随一とも言うべき音楽。ここでのミュン・フンとバスティーユ管は期待を裏切らない臨場感と新鮮味を突きつけてくれる。聴いているうちに体がピクピクしてくる。テンポはそれほど速くないけれど、速く感じるのはリズム感の良さなのだろうか。
オケの技術は素晴らしい。目くるめく色彩感。パリ管より上手なのじゃないだろうか。PR
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