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ベルリオーズ 「ファウストの劫罰」 ショルティ指揮シカゴ交響楽団・合唱団 リーゲル(T)、ダム(Br)、シュターデ(Ms)、ほかプロ野球の開幕である。
待ちに待った、と言っても嘘はないのだが、実は今朝の新聞で知ったのだった…。ついこのあいだまでオープン戦をやっていたと思っていたのに、早いものだ。
まずはパシフィック・リーグ。野村監督率いるイーグルスが万年最下位を脱出できるかがひとつの見どころだ。今日の初戦は負けたが、まだ先は長い。岩隈の復活が鍵となるでしょうなあ。
今週電車で聴いた音楽その一。
ショルティの「ファウストの劫罰」が、いつ廉価になるかと待ちわびて20年、このたびようやく実現。
感涙ものである。早速、今週の通勤の音楽となり、帰宅後もじっくり聴いてみたけれど、この曲はベルリオーズの最高傑作のひとつといっても過言ではない作品であるし、演奏は最上、録音もよい。小躍りしたくなるほど全てが揃った名盤、と言ってしまおう。
大管弦楽と合唱とソロ歌手が伴う2時間に及ぶ大作であって、全編に抒情味と緊張感とが交互に登場して飽きさせない。
マルガリータ役はフレデリカ・フォン・シュターデ。彼女の声は80年代に「琥珀色のラヴリー・ヴォイス」なんて呼ばれて、容姿も相俟ってけっこうな人気者だったが、この曲でも、ちょっと舌ったらずだけれど、甘い美声を惜しみなく聴かせてくれる。確かにラヴリーかも知れない。テノールのケネス・リーゲルは堅実にして几帳面にファウストを歌い上げている。最高音に達するときの裏声がなんともいえない。メフィストフェレス役のヨセ・ヴァン・ダムは理知的で狡猾な役を、安定感のある重みで歌いきっている。
この演奏の白眉は全曲に渡ってまんべんなく訪れるが、特に地獄への騎行のシーンは壮絶。弦楽器の延々と続く短いパッセージの上に、オーボエ、女性合唱、ファウスト、メフィストフェレスが交互に登場し、緊張感を盛り上げてゆく。「サンタ・マリーア」と祈る女声合唱が、やがて恐ろしさのあまりに発する叫び声のおぞましさ、そしてファウストを地獄に引きずり込むことに成功したメフィストフェレスの快哉の声に背筋がぞっとし、眼が潤む。シカゴ饗の精密機械のような響きは、冷静さを装っていながらも底に熱いものがあり、そのパワーはちょっと比類ない。
これは1981年の録音であるが、CDの帯によると、この時期にシカゴ交響楽団に、マーガレット・ヒリス率いるシカゴ交響合唱団がからむ録音が集中的になされていたらしい(『メサイア』、『天地創造』、『ミサ・ソレムニス』、『ドイツ・レクイエム』)。いわれてみればそうであった。
ショルティやレコード会社は、オケだけにとどまらず、合唱団のピークもこの時期と考えていたのかも知れない。まあ、とにかくコンディションの良い時期にこういった素晴らしい演奏を録音に残してくれて、感謝である。PR
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