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桃太郎、マゼール、幻想交響曲

2011.11.26 - ベルリオーズ
 
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ベルリオーズ「幻想交響曲」 マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団


芥川龍之介の「桃太郎」を読む。
桃から生れた桃太郎が鬼が島の征伐を思い立ったのは、爺さんや婆さんのように山だの川だのへ仕事に出るのがいやだったから。いっぽう、老人夫婦のほうもこの腕白ものに愛想つかしていたから、一刻も早く追い出した。
途中で出会った犬と猿と雉も根性の悪い連中で、お互い喧嘩しながら鬼が島へと向かう。こんな奴らの鬼退治がまともなわけがない。
テレビや漫画でも桃太郎のパロディはいくつもあるが、これは苦みがキツイ「桃太郎」だ。






「The Art of Lorin Maazel」が今朝届いた。HMVでは品切れだったので、タワーに注文した。それから3週間。こちらでも品切れなのかと半分諦めていた。
発売時と違うカップリングがあるものの、ジャケットはすべてオリジナルらしい。そのなかで、「英雄の生涯」のジャケットは騎士の甲冑姿ではなくマゼールの指揮姿になっているところに違和感を感じたが、甲冑は日本盤の仕様だったとのこと。オリジナルといわれると、CDの小さいキャンバスでもそれぞれ味のあるジャケットであるように思えてくる。

さて、最初に聴いたのは「幻想交響曲」。この曲のマゼールの初録音だと思う。この演奏、発売されたすぐあとくらいに図書館でLPを借りて聴いている。精密なものだとの印象は消えずにいたが、改めて聴くとそれはさらに磨きをかけているように感じた。
ワルツではコルネットがすごい切れ味で迫ってくるし、雷のシーンでのティンパニ、そして終楽章での大太鼓の音はひとつひとつがはっきりと粒だっている。弦楽器は、鋭く研ぎ澄まされたアンサンブルで全体をきつく引き締める。
スリムななかに、いろいろな音がギッシリ詰まっていて、それは最初は少々息苦しい感じがしなくもなかったが、聴いているうちにだんだんと気持ちよくなってくる。狂気じみた細かさが、いかにもクリーヴランド時代のマゼール。すばらしい。


1977年1月、クリーヴランドでの録音。
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