江戸川公園のソメイヨシノ。
蕾がぷっくらしてきた。来週末には開花姿が見られそう。
バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、ベルリオーズの「イタリアのハロルド」を聴く。
この曲を好きなのだが、決定版と言えるものは今までなかった。
強いて言えば、マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団のものと、バーンスタイン指揮フランス国立管弦楽団の演奏。
前者は、マゼールの必殺箱庭演奏の典型であり、スケールは小さいもののとてもきめ細やか。迫力にもかけていない。
バーンスタインのはとても熱気のある演奏で、ロマンティックな雰囲気が濃厚。ただ、録音がぼんやりしているので気に入らない。最初にLPで聴いたときにそう感じたが、CD化されても改善されていなかった。
あとはマルケヴィッチ指揮ベルリン・フィル、マゼール指揮ベルリン・フィル、C・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団、チョン指揮バスティーユ管弦楽団、デュトワ指揮モントリオール交響楽団、インバル指揮フランクフルト放送交響楽団、ミュンシュ指揮ボストン交響楽団、といったあたりを聴いてきた。それぞれいいところはあるのだが、「これしかない!」という域にまでは達していないと思量する。
録音はともあれ、フランス国立管弦楽団とあれだけの演奏をした指揮者だから、このディスクには期待した。
1楽章は悠々と開始される。ヴィオラの入るところ、ハープとのやりとりがしみじみ美しい。主部にはいると俄然活気が出る。弦楽器群がじつに瑞々しく、フルートなど木管の冴えた響きは色彩感満点。終結部は勢いがあって鮮やか。
2楽章は落ち着いた佇まい。同じフレーズの繰り返しが延々と続くので、集中力がとぎれがちな音楽だ。雲の中から陽がさすようなフルートがいい。
3楽章も繰り返しが多い。このあたり、この曲がもう一歩メジャーにならない原因なのかもしれない。ただ、管弦楽の色は多彩。特に木管、フルート、コーラングレ、クラリネットの名技が聴きもの。
終楽章は才気煥発。メリハリをキッチリとつけており、パンチがあり、かつ豪胆。コントラバスはギリギリと軋んでおり、ティンパニの打撃は太く、ヴァイオリンはシャープ。特に印象的なのは、弦楽器が大きく迫るなかでキラリ光るピッコロ。とても効果的であり、この演奏の白眉といってもいいくらい。指揮者の天才を感じる。
締めくくりは、激しいアッチェレランド。これはバーンスタイン流。体の血が湧きたつよう。
やられてみれば、これしかない。
録音にも不満なし。
ヴィオラはウィリアム・リンサー。ニューヨーク・フィルの首席の人だろうか。無難にこなしている。というか、この曲のヴィオラって、あまり映えない。パガニーニが怒るはずだ。
1961年10月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音。
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