ヨッフム指揮ミュンヘン・フィルの演奏で、ブルックナーの交響曲7番(ノヴァーク版のようです)を聴きました(1979年11月、ミュンヘン、ヘラクレスザールでのライヴ録音)。
これは、重厚にして透明感のある演奏。
ヨッフムの7番といえば、晩年に東京でコンセルトヘボウとやった演奏が印象的。これはFMで聴いたのだけど、ゆっくりとしたテンポでもって、重心低い音を積み上げるようなスタイルが、この曲に合っていると感じたものです。
当盤はそれより前のものだけど、解釈は基本的に同様ではないでしょうか。
1楽章は流麗で手厚い、堂々たる運び。クラリネットとフルートの音色が太く、生々しい。ラストにおけるティンパニの控えめな鳴りも好み。
2楽章冒頭のワーグナー・チューバの響きは、これから特別なことが起こるであろうことを予告するかのよう。続く弦は、幽玄。何本もの絹糸が折り目正しく紡がれているような柔らかさと浮遊感を感じます。山頂はシンバルとティンパニ入り。25分、充実の登山。
3楽章は比較的軽快。とくにトランペットとクラリネットは、スタッカートに切れ味あり。
終楽章は、決然としたように明るく、推進力が強い。終結への怒涛の流れに体ごと呑まれるようであり、それがある種の快感になるみたい。
録音はやや明るめだと感じます。
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