マタチッチ指揮ウイーン交響楽団の演奏で、ブルックナーの交響曲9番を聴きました(1983年3月、オーストリア放送によるライヴ録音)。
マタチッチのブル9は、ずいぶん前にチェコ・フィルとの演奏を聴いたけれど、頼りないことに覚えていない。覚えていないということは、そう大したものではなかったのかな、などと思いながらウイーン響のCDをターンテーブルに乗せました。
始まってから2分過ぎあたり、高揚の頂点でティンパニがドスンと杭を打つところがハッキリしていないので、ここは不満。
でも、聴き進むうちに、だんだんと心地がよくなってくる。
無骨で、ドスが効いている。オケの響きは梅雨の曇天のようにくすんでいて、まるで北ドイツの田舎オケみたい(偏見)。テンポや強弱のユニークな変化は、よくわからない。全体を通して不愛想だからとっつきは悪い。それにも関わらず、当演奏にはなんとも言えぬ、渋く奥行きのある味わいがあるのです。
堪能しました。
マタチッチのブルックナーといえば、1984年にNHK交響楽団を振った8番が名演とされています。この演奏も、どこがどういいのかを具体的に説明するのがとても難しいのだけど、名演奏とすることに強く同感。
音楽って、やはり不思議。
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