R・ゼルキンのピアノ、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、ブラームスのピアノ協奏曲1番を聴きました(1961年1月、フィラデルフィア、タウン・ホールでの録音)。
ゼルキンのブラ1を、セルとのものは昔から聴いていたけれど、オーマンディとの演奏は初めて聴きました。こちらのほうが古い演奏であるものの、オーケストラの響きと録音はこちらのほうが好み。音色に艶と深みがあるように感じます。
ゼルキンのピアノは折り目正しい楷書書き。ガッチリと太い芯のあるトーンを貫いています。ゼルキンの生演奏を聴いた友人は、驚くような柔らかい音だったと述懐しています。僕は同じゼルキンでもピーターは聴いたが、ルドルフは聴けずじまい。2楽章における蛍のような弱音の煌めきや、竹を割ったような終楽章の第1主題などを聴くと、ますますその思いを強くします。
ゼルキンのピアノの味わいはセル盤と大差はないと思いますが、指揮の塩梅なのでしょう、こちらのほうが大らかな音楽になっていると感じます。とりわけ、ホルンと木管楽器が雄弁。
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