バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、「ウェストサイド物語」のシンフォニック・ダンスを聴く。
この映画は中学から高校の頃に映画館でもテレビでも観た。東銀座の東劇だったろうか。もちろん封切ではない。
映画館で観たときは、踊りのいきの良さもさることながら、音楽の奥行きの深さに感嘆させられた。それはときには躍動感があふれ、ときには情緒たっぷりなもので、とっつきやすいにも関わらず飽きにくいものだった。
もう何十年も観ていないが、このディスクを聴くと、さまざまなシーンがよみがえる。
「Prologue」は指鳴らしが入っている。ジョージ・チャキリスの長い脚が、眼前に飛び込んでくる。木管楽器の音が明瞭に聴こえる。
「Somewhere」は全曲中でもっとも抒情味が濃い音楽。艶やかな弦楽器がことのほか美しい。
「Mambo」、掛け声が入っていないのが残念。
「Cool」はジャズ・バンドが活躍する。そのあたり、「ポーギーとベス」を想起させる。
「Finale」は弦楽器のしっとりとした響きが印象に残る。こうした音楽があるから「ウェストサイド物語」は不朽の名作を言われるのだろう。格調が高い。
全曲を通して22分強。長さでは、チャイコフスキーの幻想序曲と同じくらいの規模である。メロディーの卓越さといい、流れの円滑さといい、全然負けていない。
録音も優秀。
1961年3月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音。
ひたひたと秋が。
在庫がなく、ご迷惑をおかけします。
5月下旬に重版できる予定です。
「ぶらあぼ」4月号に掲載されました!PR