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カラヤンのストラヴィンスキー「春の祭典」

2009.10.03 - ストラヴィンスキー

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ストラヴィンスキー「春の祭典」 カラヤン指揮ベルリン・フィル


カラヤンのハルサイは1978年のライヴ。
思うに1978年頃は、カラヤンとベルリン・フィルのコンビの後期の最後の頂点だったのじゃないだろうか。
数多くのレコード録音をこなしたことは以前からなされていたが、カラヤンのやりたいことが満開に咲きみだれたのがこの時期だったように感じるのだ。
そういったことを思わずにいられない演奏が、三度目のベートーベン全集。流れるレガートの麗しさと、鮮明にピントが合った縦の線。このふたつが矛盾することなく両立しており、完成度はいつも高かった。
「春の祭典」の録音はたしかスタジオの二種が残されている。昔に新しいほうの録音を聴いた。細かいところは覚えていないが、パンチの弱いおとなしい演奏だったと記憶する。
それに比べると、今回聴いたライブはかなりの迫力がある。ことにオケのパワーが強烈だ。ありあまる性欲の放出を指揮者が抑え込もうとするのだが、勢いはやまず指の間から漏れ出てくるような感じ。
解釈は違うものの、方向性としてスマートなものを志向していると思われるが、いかんせんオケがスキあらば暴れる気まんまんなのでむしろ野性味が濃い演奏になっている。
弦楽、木管、金管といずれもテンションが高い。
ベルリン・フィルの弦の厚みは世界でも有数の、というかこれ以上はちょっと想像し難いくらいのものであるがこの演奏でもじゅうぶん発揮されている。艶やかでありこのうえなくゴージャス。木管も金管もいつも通りの技術の高さに加えて熱い血潮に溢れている。
あと特筆すべきはティンパニ。うまいし音がでかい。ことに「大地の踊り」における最後のおいこみの場面での叩きっぷりは鬼のようである。リズムはやや重いのだがティンパニの切れ味が鋭く興奮せずにはいられない。
ベルリン・フィルのパワーに圧倒される演奏である。

1978年8月31日、ルツェルンでのライヴ録音。
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