オーマンディ フィラデルフィア管弦楽団 20世紀の音楽 諸富祥彦の「友だち100人できません」を読む。
「このむなしい世の中、何かにはまりでもしなきゃ、やっていられない」。
そういう意味で、いわゆる「オタク」の人は強い。安心して依存できるものがあるし、なによりも孤独力がある。
著者は、だから今こそオタクを目指しましょうと言っている。
とはいえオタクの道も案外難しい。
広く浅くじゃだめなんだろうな。友達100人どころか、オタクにもなれないヨ。
オーマンディの「ハルサイ」は荒くれ演奏だ。
速めのテンポで、ズイズイと突き進む。多少音程が外れようが、リズムが破たん寸前になろうがおかまいなしだ。すべての楽器がエクスタシーを求めて咆哮している。
特にすごいのは「大地の踊り」。駆け抜けるような速さに乗って、パンチの効いた弦と金管が荒れ狂ったように叫んでいる。手に汗をにぎらずにはいられない。
「ハルサイ」を聴いて、久々に金玉が痺れた。
ギレリスのシューベルトが「重戦車」というならば、この演奏はどう表現したらよいのだろう。さしづめ「宇宙戦争」とでも言えばいいのかな?
こういうド迫力重視の演奏にはフェドセーエフやゲルギエフ、あるいはスイトナーやカラヤンのライヴなどがあるが、爆演のスケールの大きさは、これが一番かも。
ただ、惜しむらくはモノラルであること。せめて、あと数年後に録音されていたら。
1955年4,5月、フィラデルフィア、音楽アカデミーでの録音。
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